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小さな神様と悪い悪魔

作者: 師走冬也

 この世界が始まる前、小さな神様が一人だけいました。 小さな神様は、一人でいろいろなことをして遊んでいました。 するとどこからともなく悪い悪魔がやってきました。 「嬉しくなるものを見せてあげるよ」と悪い悪魔が言いました。 「見せて」と小さな神様は返事をしました。 悪い悪魔はにやりと笑い、小さなボールのようなものを置いて、どこかへ消えていきました。 小さな神様は、小さなボールのようなものを、よーく見てみました。 すると、自分に似た小さな生き物が住んでいました。 小さな神様は、自分に似た小さな生き物を人間と呼ぶことにしました。 小さな神様は、仲間ができてとても嬉しく思いました。


 人間はしばらくの間、普通に暮らしていました。 しかし、まもなく大きな戦争が起こりました。 人間は他の人間を殺すための賢い方法をがんばって考えました。 小さな神様はびっくりしました。 けれど、戦争はすぐに終わり小さな神様はほっとしました。


 しかし、またしばらくして大きな戦争が起こりました。 今度は前の戦争よりさらに賢く人間を殺す方法が考えられました。 小さな神様はさらにびっくりしました。 そして人間がいなくなってしまうのではないかと心配しました。 でも、戦争はすぐに終わり小さな神様はほっとしました。


 しばらく平和が続きましたが、また大きな戦争が起こりそうになりました。 今度は前の戦争よりもっともっと賢く人間を殺す方法が考えられました。


 しかし、人間は2度の戦争でとても賢くなっていたので、戦争をせずにすみました。 人間は話し合いをして、いろいろなことを決めていくようにしました。 小さな神様は安心しました。


 人間はとても賢かったので、どちらがより絶対に正しいか決められました。 どんどんどんどん絶対に正しいことが決められていき、人間はどんどんどんどん幸せになっていきました。 小さな神様はどんどんどんどん嬉しくなりました。


 そしてついに全ての絶対に正しいことが決められて、人間は最も幸せになりました。 小さな神様も最も幸せになりました。 ところが、そのときを境に全ての人間が全く動かなくなりました。


 小さな神様は独りぼっちになってしまいました。 小さな神様は悲しくなりました。 小さな神様は泣きました。 小さな神様は、このときはじめて、悪い悪魔に騙されたことに気づきました。


 小さな神様はずっと泣き続けます。


 ずっと...


 ずっと...


 ずっと...

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