プロローグ【絶望始まり】
人の魂は転生を繰り返す
魂の数は決まっており増えることも減ることもない
神はその循環を見守っている
そこに神の手が加わることは決してない
それが世界の理なのだから
もっとも古き魂
その転生回数はすでに6億を超えている。
人に虫に微生物にありとあらゆるモノに転生を繰り返している。
転生先は一つではないあらゆる平行世界、多重世界を渡る。
生まれて0.1秒で死ぬこともある微生物
生まれて数億は生きた魔物
あらゆるモノに魂は転生する
しかし神は循環の中に不和があることに気付いた。
神は循環の中に手を入れそれを取り除く
それは一つの小さな魂。
どこにでもある魂だが神はその魂の奥を見通す。
もっとも古い魂ですら6億という回数しか転生をしていないのに
この小さき魂はすでに20兆という転生を繰り返していた。
神は見通した魂の懇願を
憎悪、嫌悪、違和感、忌み、忌諱
あらゆる負の感情がそこに根付いていた
神は理解した
この魂は生まれながらにして悪になってしまう
人と生まれおちても数秒で殺され、動物として生まれても殺され、微生物のときですら殺される。
生まれながらにして世界の悪となってしまう。
味方は存在しない。あるのは敵意、害意のみ。
魂の中身を神は書き換えることは出来ない。
そうしてしまえば魂は別の存在になってしまう
ゆえに神は魂に新たに加える
憎悪、嫌悪、違和感、忌み、忌諱、幸運
これだけの絶望を持っているモノはすでに幸運ではないだろう
だがあえて神は幸運を選ぶ
運が良ければ少しだけ生きながらえることができよう
神は魂を循環へと戻す
そして神はまた循環を見守る