挿入・??/グルメの男
「……フム。これが日本の味か。なるほど、日本食は美味いと聞いていたのだが、なかなか美味ではないか」
とある、洋風の部屋。
右手には、本棚。本はそれぞれ分厚く、どうやら何かしらの歴史本のようである。
左手には、コーヒーメーカーなどが置かれて、軽い喫茶のようになっている。
その部屋の中心には、一人用のそれほど大きくないテーブルとイスが一つ。
そこに座る、英国紳士風の男が一人。
カチャカチャと、男はナイフで肉を刻み、ソテーのような形で調理したステーキを、ゆっくりと口に運んだ。
フム。フム。
頷く度、噛みしめる度、肉汁があふれだし、肉のうまみが口全体に広がった。
この肉は、自分で作り上げた特性ソースとも、とても相性がいい。
「この程よい硬さ、けれど繊細な柔らかさ。フム。アジア圏は中国で食を制覇したものと思っていたのだが、これはなるほど、非常に美味だ。癖になる。社会システムの方はなかなか厄介ではあるものの、その労力に見合うだけのものはあるということか」
ちらりと、彼は部屋の隅にある肉を見た。
今日は十分堪能した。多少質は落ちるが、これは何度でも味わいたい、いいものだ。いつもならば新鮮さが欠けるため、残りを捨ててしまうのだが、今回ばかりは冷凍しておこう。
そう決めた紳士は、ナプキンで口元のソースを吹き取って。
ニヤリと歪めた口で、言葉を紡ぐ。
「さてさて。キミはどんな味がするのかな。教えてくれよ――“吸血鬼喰い”」




