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クエスト終了


 教えられた方向に進むと通路があったので、道なりに進んでいく。

 広いところに出た途端、ひゅうが君が大きな声を出した。


「なつー!」

「なつちゃん、居たら返事してー!」

「……聞こえてないかもしれないな」

「どうする?」

「大きな光なら、憑いているやつごと出て来るかも」


 大きな光ね。……雨みたいにしたら広範囲に出来るかも!


 妖力を意識すると使い方が、またなんとなく分かった。

 妖力をふわふわと広げて、浮かせる。

 後は、それにじわじわと妖力を与え続ける。

 雲の中の妖力がいっぱいになったら、光が降ってくるだろう。

 少しすると、イメージ通りの光の雨が振りだした。


「来たぞ」


 みかんの声がしたほうを見ると、前と同じような雰囲気の、黒い魔物がいた。


 ……前回と同じね。


 私はみかんの言葉を思い出しながら、魔方陣を作り妖力を放出した。

 するとみかんが、横から妖力を放出し、私の妖力に当ててきた。

 紺と紫の妖力がぶつかり合ったところがきらきら光り、無数の矢となって魔物に向かっていった。

 光の矢を一身に受けた魔物は、みるみる縮んでいき、れもん、いちご、どんぐりのサイズになった時に漸くとまった。

 しきりと何かを喚き続ける魔物の元にひゅうが君が駆けていった。


「なつは、どこ?」

「知らねえよ」

「この、踏み潰してやる!!」


 ひゅうが君の足は、魔物の直ぐ隣に下ろされた。


 ……ひゅうが君、今本気だったよね?


 小さく聞こえた舌打ちに、私は身震いした。


「わ、何すんだよ!?」

「なつの居場所を今すぐ言わないと、本当につぶす」


 ……「つぶす」のところが、真顔で怖かったです。


「五、四、三、二……」


 鬼だ! ひゅうが君、認めた相手には丁寧だけど、それ以外雑!


「ま、待て、待ってくれよ! 本当に知らないんだよ!!」

「じゃあ、なつはどこへ?」

「見てなかったのかよ」

「なつにとり憑いたやつだと思うけど、攻撃されていたから、見ていない」

「多分、この隠し通路のほうに行ったんだろう」


 それを聞いたひゅうが君は行こうとするが、魔物にとめられた。


「そこは神聖な場所だから、霊力がないと通れないし、神の怒りをかいかねない。……でも、なつとやらはどうして通れたんだ?」

「なつは霊力が人一倍だし、僕達は白狐と風貍の混成児だ。白狐は善狐だから、神聖だと思うよ?」

「巫女や魔女とともに、よく描かれる猫も神聖だな。俺は能力的に神聖だと言われるだろうな」


 ……予知能力は、確かに神聖な感じがするからね。


「猫の歴史は、初めて知ったよ」


(ばれるから、黙っていなよ……)


 小さくみかんが呟いたが、今更だった。


「猫又のお嬢さん。それは常識だと思うよ?」


 ……ばれているし!!


 私の驚いた表情に、みかんはため息を一つ落とした。


「こいつに常識は当てはまらない」


 ……間違ってはいないけど、なんだかバカにされている気がする。


「それより、ひゅうが君種族言っちゃっていいの?」

「なつがとり憑かれやすいのは特異体質で、もともと妖力は高いから」

「その耳は? 種族を隠す為じゃないの?」

「いや、稀にある新しい種みたいなものだろう」

「みかんさん良く分かったね。この耳は白狐と風貍の尾なんだ。……そろそろ行かない?」


 大分待たせてしまったようで、ひゅうが君がうずうずしている。



 隠し通路の廊下のようなところを通ると、直ぐに開けた場所に出た。

 そこでは、髪をおさげにしたひゅうが君とそっくりのウサギのような耳がある女の子が、泉の前に膝をつき何かを話していた。

 因みに、ひゅうが君は垂れ耳だが、その女の子はピンと立った耳でその根元に小さなリボンをつけている。


「なつ!!」

「もうこれで心配ないわ。……あれ、ひゅうが来ていたの?」

「心配していたのに」

「この人たちの主が病気で見て欲しかったのだって」

「……殴る必要なかったんじゃないの?」


 それに対して、その女の子……なつちゃんは少しばつが悪そうな表情になった。


「それは邪魔されないように、この人が強硬手段に出ただけ」


 なつちゃんが横にずれると、そこにはお皿がある緑の妖怪がいた。


「河童か」


 みかんが呟く。


 ……みかんが知らないことはないのだろうか?


 そこでなつちゃんは漸く私達に気がついたようで、ひゅうが君に尋ねた。


「この方達は?」

「すだちさんに、みかんさん。僕を助けてくれた人達だよ」

「まあ、ありがとうございます。ひゅうがが何か迷惑をかけていたら、ごめんなさいね」


 そう言うと、なつちゃんは、河童を私達の前に出す。紹介してくれるようだ。


「いよかん。いよでいいよ……よろしく」


 河童は、何処と無くアンニュイな表情で小さく名乗ると直ぐになつちゃんの後ろに隠れてしまった。


「この子人見知りが激しくてあまり話さないの。……それで、身寄りが無いからあたしが連れて行ってあげることにしたの」

「なつが認めたなら、良いよ」



「そろそろ出るか」


 二人の会話がひと段落着いたところで、みかんが言った。


「そうだね」


 ここから出ると意識した途端、ふわりと一瞬の浮遊感とともに、外についていた。

 辺りを見ると、全員そろっていた。


 ……あ、いよ君人型になっている!


「クエストの報告に行くぞ」


 またみかんについて歩いていくと、「報告はこちらまで」と書かれた看板のところについた。


「あ、そういえば、証って何?」

「ああ!」


 私達がやらかしたと頭を抱えていると、救いの手が差し伸べられた。


「いよ、たのみますわ」

「うん」


 そう言うと、いよ君の足元に青色の魔方陣が出現した。

 その魔方陣の真ん中に手を入れると、出した時には黒い球体が握られていた。


「すごい」

「これは空間を捻じ曲げることで、物の移動を行えるの」


 少し得意気ないよ君から、黒い球体を受け取って報告に行った。

 報酬として、妖怪世界のお金が貰えた。


 サブタイトルを考えるのって、難しいですね……。

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