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SNSの訪問者

 社会人になってしばらくして、僕はなんとなくあるSNSに加入をした。一ヶ月に一回くらい、日記というか雑記を書いて、コミュニティにも少しは参加して、熱心には、とは言わないけれど、それなりに楽しんで、利用をさせてもらっている。

 そんなSNSで、コミュニティのとある掲示板に、書き込みをし続けていたら、そこにある種のグループができあがり、少しばかりの交流が生まれた。常連同士でふざけあったり、有用な情報を提供し合って互いに助け合ったり。踏み込み過ぎない、程よい位置関係を保った人間関係が出来上がっていたのじゃないかと思う。

 そんなある日、僕のホームに訪問者が来ている事に気が付いた。掲示板での交流は、頻繁にしているけど、日記はそんなには更新してしないから、訪問者は少ない。だからそれは珍しかった。

 誰だろう?

 そう思って見てみると、例の掲示板でよく見かけるメンバの一人だった。ネット上では女性という事になっているが、まだ実際に会った事がないから分からない。

 まぁ、単なる気まぐれで覗いただけだろう。そんな風に思って僕は気にしない事にした。しかし、それから数日後、またその彼女は訪問していたのだ。日記にコメントを残したりもしなかったし、何か特別、僕のつぶやきに返したりもしていなかったけど。

 ちょっとは気になったけど、それだけで僕は特に何もしなかった。

 それからも時々、彼女は僕のホームに訪問の履歴を残すようになっていた。そして、そのうちに、僕は彼女の来訪を少しだけ楽しみにするようにもなっていたのだ。

 だから、それで、僕の方からも、時々彼女のホームを訪問するようにした。と言っても、ただそれだけで、それ以上は何もしなかった。

 時間が経つにつれ、お互いに、少しずつ互いのホームに訪れる回数は増えて行ったような気もする。

 そしてある時だった。

 例の、僕がよく書き込みをする掲示板のコミュニティで、オフ会が開かれる事になったのだ。僕にも誘いが来て、僕は久しぶりにオフ会に少しばかり緊張をした。

 多分、その場には、彼女も来るのだろう。

 そんな期待もあった。


 オフ会。

 僕は彼女に気付いたし、彼女も僕に気付いたと思う。でも、席は少し離れていて、話す機会はほとんどなかった。軽く挨拶をしたくらいだ。

 ただ、それでも僕は彼女を見つめたし、彼女も僕を見つめていた。

 特別な事は何も起こらず、そのままオフ会は終わった。カラオケしたり、飲んだり、まぁ、普通のオフ会だ。

 家に帰って僕は彼女のホームを訪れた。そして次の日の、訪問履歴には彼女の名前があった。

 僕は思わず微笑んでしまう。

 多分だけど、今日、彼女も僕の名前を見つけて、同じ様に微笑んでくれているのじゃないだろうか?

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