どうもすみません、孤児院出身メイドの私が王子様と結婚することになりまして。

孤児院で育ったオルディアは、十五歳で授かったクラス【メイド】により固有魔法〈聖母〉が発現する。それは、育んだものがとてもいい感じになる、という魔法だった。
植物の種を植えればすくすく育ち、料理を作れば食べた人を元気にする。

しかし、オルディアのこの魔法の使い道といえば、同僚のメイド達に美味しいお茶を入れるくらいのものだった。

ところがある日、一人の男性と出会う。
ずいぶん疲れた様子の彼につい料理を振る舞ってしまった。

その日から、オルディアは彼とたまにお茶をするように。
この時の彼女は何も知らなかった。彼の正体も、〈聖母〉という魔法が秘めた可能性も。