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19回目〜…


19回目〜…


(……よし、ようやく……ようやく、ここまで辿り着いた)


 道中、数えきれないほど死んできた。


 ゴブリンスタンピードについて、いつものギルドマスターに相談するも、ギルドマスターの部屋で気づけば殺されていた。


《おぉ!使徒よ! 死んでしまうとは、情けない!》

《これからも我を愉しませよ》


 ゴブリンのスタンピード──回避できたと思ったら、今度はドラゴンが隣町を襲撃してきた。おのれ父さん。


《おぉ!使徒よ! 死んでしまうとは、情けない!》

《これからも我を愉しませよ》


 盗賊──何度も何度も繰り返された。忘れてはいけないと自分に言い聞かせていたのに、他に気をとられて忘れていてしまい、また殺された。


《おぉ!使徒よ! 死んでしまうとは、情けない!》

《これからも我を愉しませよ》


 一つずつ、確かめて、警戒して、それでも罠のように抜け落ちてしまうものがある。


 けれど、今回は違った。


 ようやく、ようやく、十五歳を迎えることができた。

 成人の儀式──あの節目の通過を、俺は、初めて、無事に終えたのだ。


 あの朝、両親に見送られたときの気持ちは、今でも胸の奥に温かく残っている。


 父は、無言で俺の肩を叩いて、頷いてくれた。

 母は、「体に気をつけるのよ」と、何度も口にして涙をこらえていた。


 俺は、笑った。


 子供のように泣きたかったけれど、ここで泣いたら──また、彼らに心配をかけてしまう。


 ギルドマスターと並んで馬車に揺られながら、俺は何度も空を見上げた。


 雲ひとつない青空だった。

 こんな空を見るのは、いったい何年ぶりだろうか。……いや、“何回目”だろうか。


 何回、いや何十回と繰り返してきた日々。けれど、ようやくこの“人生”が前へと進み始めた。

 心の底から、そう思えた。


 王都に行く。

 俺は王都で暮らす。

 そして、いつか──愛するあの人と再び出会い、もう一度、きちんと向き合いたい。


 今度は間違えない。老人口調だって直したし、過去に縛られたままにはならない。


 この人生は、俺だけのものだ。


「……父さん、母さん。ありがとう。俺、頑張って、嫁さん連れて帰るからね」


 馬車の中で、小さく呟いた言葉は、風に乗って涙とともにどこかへ消えていった。


 それでも──きっと届いている。あの二人には。



---


〜第2章《王都編》完〜



ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


一旦完結にしますが、第3章まで続きます。


よろしくお願いします。

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