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17回目


17回目


《おぉ!使徒よ! 死んでしまうとは、情けない!》


《これからも我を愉しませよ》


 またか。


 どれだけ祈りを捧げても、どれだけ過去を覚えていても、何かが足りない。

 この何もできない乳児期に、しっかりと考えて行動の筋道を立てなければならない。わかっている。毎回のことだ。


 それでも、今回こそはという希望を捨てきれない。


 ──「いい年して、親とべったりなんて気持ち悪い」


 あの言葉が、頭の片隅に残っている。

 どれだけ理不尽でも、言われてしまった事実は消えない。あれがきっかけで、すべてが崩れていった。


 時間が経ち、少しずつ体が大きくなっていく。ようやく五歳になった。

 記憶は断片的でも、今の行動が未来を変えるという確信はある。

 何もしなければ、また同じ場所で、同じように死ぬ。だから、今度こそ違う選択肢を──。


* * *


 ある日、村にやってきた行商人と久し振りに出会った。


 話を聞けば、今日は隣町に戻る予定らしい。

 このままだと村を出られないか、強引に出てもどうせまた死んでしまう。それなら何か行動しなければ、何も変わらない。


「隣町に、行ってみたい」


 両親にそう伝えると、少し悩んだ末に許可をくれた。

 何も起きなければ、それでいい。何かあったとしても、そこから何かを得られるかもしれない。


 荷物と水筒を持って、行商人と二人で村を出た。


* * *


 道の両脇には木々が生い茂っている。

 落ち葉を踏みしめながら、行商人と並んで歩く。何気ないこの風景の中に、確かな違和感がある。


 なぜだろう。今この瞬間にも、身体の奥底が警鐘を鳴らしている。


 風が吹いた。枝が揺れた。


 次の瞬間だった。


 木々の隙間から、何かが閃いた。


 ──矢だ。


 飛んできた矢が行商人の肩を貫いた。もう一本が、俺の胸に突き刺さる。


 息ができない。視界がかすむ。

 痛みよりも、落胆の方が早かった。


(……そうか、またか)


 朦朧とする意識の中、俺はそう呟いた。

 また、何も変えられなかった。何をどう選んでも、待っているのは死だった。


 身体が崩れ、冷たい地面に横たわる。視界が闇に沈む。


 そして、あの声が聞こえる。




《おぉ!使徒よ! 死んでしまうとは、情けない!》


 


《これからも我を愉しませよ》


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