斯くして文明は滅びん

かつて「不老長寿」の術式を完成させたものの、一つの都市を跡形もなく消し去ってしまったイシュエルは、その罪を負いながら世界を放浪している。
長い旅のなかで彼が見てきたのは、作物を瞬時に再生させる魔法や、雨を自在に操る術式、寿命を延ばす秘術のように、一見“夢のように便利”な力が、制御を失えばあっという間に文明を破滅へ誘う姿。
本作は、そうした技術の暴走がもたらす惨劇と、それを繰り返しながらなおも先へ進もうとする人類の足跡を、イシュエルの静かなまなざしとともに描く物語である。