観光デート②
シルと狸小路を歩く。
「すごい!人がいっぱいだね〜あっ!大きな
たぬきだ!!」
大人びた容姿でありながらも、まだ10代のあどけなさが残るシル、、、
普段見ることが少ない、リアクションに愛おしさと、切なさすら感じさせられる。
そんな俺の思いとは裏腹に、シルは俺の手を引っ張っり、俺を振り回す。
シルが正式に家で暮らし始めたのは、3月上旬、あれから約一月半、ここまで、仲良くなれて良かった。
オトンからも、エルフは種族特性として、
警戒心が強く、特に、肌の触れ合いを極端に嫌う傾向が強いだから、自分から積極的に接するのは避けた方がいいと、教えられていた。
そんな、シルが俺の手を握り、こんな無邪気な表情を見せてくれるとは、、、
「シル、疲れてないか?」
「ううん、平気!にーさんは?」
「俺はちょっと疲れたかなぁ?」
シルの表情が一瞬暗くなる。
「ちょっと甘いものが欲しい感じなんだよな!、、シル?チョコ好き?」
そう言うと、花が咲いた様な満面な笑みで、
「チョコ好き!!」
「そうか、じゃ〜ロイズの生チョコを探そう!」
すると、聞きなれない単語だったらしく、
「生チョコ?」
と、首を傾げて尋ねてくる
(なんだこのかわいい生き物は、、、)
「俺も食べたことは無いんだけど、さっき調べたら凄くおいしいんだって、シル付き合ってくれる?」
シルはニコニコしながら
「うん、探しに行こ!」
と、俺の手を引っ張り歩き出す。
人混みもあって、お目当ての生チョコが、
なかなか見つからない、結局、札幌駅近くの百貨店で見つけた。
一箱購入して、駅広場のベンチに座り、箱を開けてシルの前に差し出す。
キラキラと目を輝かせ、一粒手に取り、
パクリ!シルの大きな瞳が、より一層大きく見開き、足をバタバタとさせて、体でおいしさを表現していた。
「にーさんこれ凄い!柔らかくて、口の中で溶ける〜!」
そう言いながらも、すでに3粒をお召し上がりになっている。
どれ?俺も一粒、、、うん!これは美味い!
でも、チョコはのどか乾くなぁ〜
「シル、飲み物買ってくるけど、紅茶かいいか?」
シルは俺を見ることなく、コクコクとうなずき、ゴモゴモ言っている、、、(笑)