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さおり
雲野沙織。
俺の初恋の人の名前。
大きな黒の瞳に、黒髪ロングのストレート
が印象的な和風美少女。
中学2年の秋、仲の良い女友達が出来た。
きっかけは、他愛の無い会話が、趣味の話しに広がり、それからは趣味の話を中心に話す様になっていった。
交友が恋に変わるにはそう時間は掛からなかった。
高校1年の春、彼女への秘めた恋心をひた隠し、交友を深めていたら、彼女から恋の相談をうける。
彼女が恋したのは、ワタナベトオル、この春から仲良くなった俺の友達だった。
俺は自分の恋心を殺し、彼女の恋の応援をした。
それとなく、トオルに彼女を紹介して、少しずつ2人になれる時間を作る。
その後は、彼女の努力の甲斐あって、高校1年の夏の終わりに、彼女の恋は実りを成した。
さおり
「応援してくれてありがとう〜タダノくん」
夕暮れの公園のベンチで、嬉し泣きをする彼女から、恋の成就の報告を受ける。
その報告に、引き裂かれそうな心を押し殺し、笑顔で彼女を祝福した。
残暑とは程遠い暑さの中で、ヒグラシの鳴き声だけが、夏の終わりを告げていた。