波の数だけ抱きしめて②
テラスから出て、ソヨヒト達とLENEしながらプライベートビーチの砂浜を歩く。
わたしが一人で出歩くことが心配なのだろう、、、
一緒にテラスにいたポチがトコトコと着いてくる。
シズク
「あら〜わたしを守ってくれるの?」
柴犬のポチは大きなあくびをして眠たそうに着いて来る、、、眠いならテラスで寝てれば良いのに、、、
シズクそう思いながらポチと砂浜を歩く、、、。
5年前、父が保護施設にいた仔犬のこの子を貰ってきた。特に世話をやいている訳でもないが、なぜかわたしに懐き、普段からわたしの部屋で我が物顔で居座っている。
正直、そこまで犬が好きでもなかったのだが、さすがにここまで懐かれると、なんとも言えない愛情も湧いて来る。
浜辺を歩きダーリンにLENE返していると、方向を失い波際に、、、ポチがわたしのスカートを引っ張り注意してくれる。
シズク
「ありがとう!!ポチ!!」
父も変わったお人だ、柴犬の雑種だからポチ!!
そんな理由で付いた名前、、、。
1月のハワイは比較的暖かく過ごしやすい気候だけど、やはり朝晩は少し冷える、、、
その事もあってだろうか、、、人肌恋しくなる、、、
それを知ってか、、、流木に座るとポチが身を寄せて温めてくれる、、、。
シズク
「はぁ、、、早く帰ってソヨヒトに逢いたいなぁ
どうせならソヨヒトを招待すればよかった、、、」
月明かりで穏やかに揺らぐ波を見つめ思わず呟く、、、
学校でソヨヒトに一緒に過ごせるのは後、3ヶ月も無い、、、元々恋を知らないで、ここまできてしまったツケなのだろうか、、、自分がこんなにも情熱的に人を好きになるとは思っていなかった。こっちに来てからずっとソヨヒトの事を考えている。
シズク
「ポチ、、、ポチもソヨヒトに逢いたいよねぇ〜
帰ったら一緒に逢いに行く?
わたしとポチとソヨヒトで、公園を散歩するの!!
ソヨヒトはきっとポチにも優しくしてくれるよ!!
ソヨヒトってすごく優しくて頼りになって、何よりも格好いいんだから!!」
ポチはシズクの話を聞いて素直にワンとひと吠え。
そんなポチを嬉しそうにシズクは抱きしめ撫でて、、、
シズク
「帰ったらわたしもいっぱいソヨヒトに抱きしめて貰うんだから!!」
穏やかな波の音とポチの存在が、ちょっとセンチなシズクの心を癒していた、、、。




