波の数だけ抱きしめて①
数多の星が煌めく漆黒の夜空の中で、微かな月明かりに照らされる穏やかな海を、シズクはぼーっと眺めている。
シズク
「はぁ〜やっとこのイベントも今年で最後ね!!」
目の前に広がる景色は、普通の人が見れば一生の思い出として喜ぶのだろうか?
ふと、そんな事が思い浮かぶ、、、。
毎年、年末年始はハワイの別荘で家族と過ごす、、、。
例年と変わらない一年だったならシズクはなにも感じなかっただろ、、、。
シズク
「わたし今年は日本に残る!!」
シズクの父
「ダメだ!!年末年始はハワイで家族で過ごす!!」
シズク
「もう嫌よ!!毎年行ってるから飽きたの!!
それに、、、」
シズクの父
「そりゃ〜確かにお前の彼氏はあの多田野家だ!!
わたしとしては願ったり叶ったりだが、それでもせめて今年だけわ、、、」
日本屈指の白河財閥が誇る情報機関を持ってすれば、私たちの関係なんて直ぐにバレる。
父は早い段階でわたしの恋人が、多田野家の長男、多田野梵人だと知り大喜びをした。
また、父はソヨヒトにはわたし以外に2人の恋人がいる事も知っていて、その件も許容している。
父からすればわたしは三姉妹の真ん中っ子、白河財閥は長女の姉が継ぐ事が決まっている。
そう考えれば、一人ぐらい道から外れた生き方でも、、、
それが世界屈指の資産家の妾なら、、、そう思っているのかもしれない。
わたし的には父にそう思われることに不満はない、
別に父に特別に愛されていないわけじゃない、むしろ三人姉妹で一番手をかけてもらっている。
ゆえに、当然ソヨヒトの奥さんになったら、実家の為にある程度の配慮だってするつもりだ。
だから今は私たちの関係に関わって来ないで欲しいと願っている。
普通の人々には私たちのこんな関係は、当然理解出来る話ではないだろ、、、
けれど、政界、財界では良くある話、古来より貴族の婚姻は家同士と決まっており、血を繋ぐ事を何よりも優先とされるから正室、側室の制度だってある。
父にだって私たちの知らないひとがいて、私たちには会ったことのない兄弟がいるのかも知れない、、、。
そんな事を思いながら景色を眺めて、少しセンチな気分になっていると、、、
シズク
「ふふっ、、、もう〜ダーリンったら!!」
わたしだってたまに不安になることもある、、、
ソヨヒトにとってわたしは都合の良い女なのかもって、、、
わたしがこうやって沈んでいる時に、、、ちゃんと
LENEをくれるんだもん、、、ハァ〜本当に沼っちゃう、、、罪なひとね!!




