とあるローネの日常③
大貴族はミネフト聖王国(エルフ国王)の南西の獣人族の国と隣接しており、地理的優位と獣人族の支援により魔王軍の侵略を防いでいた。
そして大貴族は年頃になったシルまでも狙う様になっていた。
後でわかったことなのだが、大貴族は獣人族の支援を受ける条件として、各地から逃げ延びたエルフの女性を性奴隷として獣人族に献上していた。
余談だが戦後この事実を知ったテンジン(ノリヒト)が激昂し、関係者を洗い出し隣国の獣人族の王族諸共粛清をした。後にこの粛清を
テンジンの血の粛清
として、各国でのエルフの奴隷解放に役立った。
ローネは男たちに妖艶な笑みを浮かべ彼らを見つめる、、、男たちはその艶やかな視線に思わず生唾を飲み込むが、、、
ガラ悪リーダー
「、、、はい!わかりました私たちは彼方に向かいます、、、」
そう言って岩山の方に歩いて行く、、、それを見るなりローネは素早く帰りのロープウェイに乗り、その場を後にする。
ローネ
(やはり私は直系ではないから魅力の力は長持ちしないわね、、、)
ローネはロープウェイの中から我に帰って、キョロキョロとする3人組みを見つめていた、、、。
帰り道にお土産屋に立ち寄り、シルに何か良いお土産は無いかと探す。
店内には観光客や修学旅行生も多くおり、ローネとすれ違うとその美貌に思わず息を呑みポツリと、キレイ、、、と呟く声が聞こえる、、、ちょっと恥ずかしくなるがナンパを試みる輩でも無いので、そのままお土産探しを楽しんだ。
ホテルに戻り館内にあるフレンチレストランで遅めの昼食を頂く。
メニューを開き昨日から目をつけていた、フレンチコース料理をチョイスする。
昨日ノリヒトと訪れた際にノリヒトがメニーを見て
ノリヒト
「このコース料理、ローネの好きそうなの沢山入ってるね!!」
と言われたメニューだ、確かにどれもローネ好みのものばかり、ノリヒトが普段からちゃんとわたしを見てくれていると実感出来き、なんともいえない幸福感を感じながらフレンチコースを堪能した。
自室に戻ってシャワーを浴びてベットに横になる、、、
今日の部屋の掃除はキャンセルしたので、シーツにはまだノリヒトの温もりが感じられる、、、。
ローネ
「明日は横浜に移動する、、、それまでの辛抱、、、」
そう呟きながらも、誰かが訪れてくれる事を期待して待っているかの様に、ローネは一糸纏わぬ姿でその温もりが感じられるシーツに包まり、、、ふと、
ノリヒト
「この世界で新しい恋を探すのも良いのでは?」
以前ノリヒトから言われた言葉を思い出す。
この世界に照らし合わせると、確かにそうなのかも知れない、それでもローネは、、、
ローネ
「きっと戻って来る、、、」
ノリヒトをあきらめる、、、そう思うたびに、この言葉が浮かんでくる、、、言葉では表現出来ない、、、なんともいえないこの感情、、、そんなことを思っていると、いつしかローネは眠りについていた、、、。
朝、いつもの様に小鳥の囀りが聞こえる、、、どうやらあのまま寝てしまったのだろう、、、そう思っていると淹れたてのコーヒーの匂いが、、、
ノリヒト
「おはようローネ!!今朝はいい朝だね!!」
そこには愛し人が淹れたてのコーヒーを持って微笑んでいた、、、。




