とあるローネの日常②
ローネはタクシーで桃源台駅まで向かいロープウェイに乗る。
ロープウェイは相席で、運行してすぐに後ろを振り向くと湖が見える、そしてどんどん山を登って行きあっという間に一つ目の駅に到着、そのまま駅を通過し、ロープウェイは目的地に向かう。
目的地に近づくと木々のないハゲた大地から、煙の出てるところが散々としている。
その様子を見てローネは若かりし頃を思い出す。
当時すでに稀代の大賢者と名を馳せていた元夫、
ソイ モルト ミネフト
弱い150歳にして前王モルト国王の突然の崩御により、半ば強制的に国王となる。
その後右往曲折あり貧乏貴族のローネと恋仲になり、190歳で結婚した。
そんな二人が新婚でお忍びで訪れたのが、眼下に広がる風景の様な秘湯だった。
係員
「お客さん!!お客さん!!終点ですよ!!」
思わず思い出に耽っているとロープウェイは駅に到着していた。
駅から出るとそこらかしこから湯気が出ており、どことなく懐かしい強烈な匂い、そして再びあの頃を思い出す様な風景が、、、
ローネ
「ふふ!私たちもあんな風に手を繋いで岩山を登ったわね、、、」
ローネは若いカップルが手を繋いで岩山を登る様子を眺め、かつての自分達を重ねていた、、、。
ローネ
「きっと戻って来る、、、」
ソイが魔王との決戦前にローネに残した言葉、、、
あれから数百年幾度もこの言葉を思い出し、一人涙を流した、、、
センチな気持ちになりながらも黒玉子を売っている行列に並ぶ、程なくして黒玉子を6個購入して近くのベンチに座り、一つを剥いてパクリ!!モグモグ!!
ローネ
「あら!美味しいわね〜!!」
黒玉子のおかげですっかりセンチな気分も晴れて、黒玉子をもう一つパクリ!!
ローネ
「ふふふ!!これで10歳は若返ったわね!またサチとの差が開くわ!!」
そう言いながらも残りの4つは二人のお土産として、持って帰ろうと考えていると、
???
「ウヒョ〜すげ〜美人おねーさん1人?外人さん?日本語わかる?」
そう言ってガラの悪そうな20代前半の男たち3人に声をかけられる、、、。
ローネの人族換算の年齢は36歳となるが、実際の見た目は20代前半と言ってもおかしくない若さを保っている、
シルと2人並ぶと、ぱっと見の印象で姉妹と間違われるほどだ。
ローネ
(あ〜うざい、、、またかぁ〜)
ローネ
「ごめんなさい!彼と一緒なので、、、」
そう言うとガラの悪そうな男のリーダーが、
ガラ悪リーダー
「いやいや俺ら一緒のロープウェイだっけとお一人様でしょ?一緒に観光しようよ!!なんなら今からホテルで飲み会でもする?」
そう言いながらローネの姿を舐め回す様な視線を送る。
あからさまな下心を出した下品な口説き文句、、、
まぁ〜向こうの世界の隣国の王や、同族の大貴族よりマシな方か、、、ソイが死亡して程なくして古都エルミネフトの陥落後、隣国の人族の王より幾度も書状が届いていた、その内容は最初こそはやんわりとした亡命条件としての婚姻だったが、それを何度か断るとそのうちあからさまな内容に変わって言った、、、そうは言っても相手は所詮人族、ほったらかしておけば勝手に寿命で死んでくれたが、面倒だったのは同族のエルフの大貴族だった。




