あなた
しばしの沈黙の後、重い口を開ける。
何かを決意したように、、、。
シル
「私はエルフ悠久の時を生きる、、、私にとってソヨヒトと過ごす時間は刹那の時、偽りの愛を利用して、向こうの世界に戻りエルフ王国の再建を考えていた、、、
ひどい女でしょ、、、」
オトンは向こうの世界で俺の想像以上の力を持っていた、そんな男の子ならたとえ、張りぼてでもいくらでも利用出来る、そういうことなんだろ、、、
ソヨヒト
「そうだね、、、」
シルの体は震えていた、ソヨヒトに見限られた、、、そう感じたから、、、。
ソヨヒトは振り返りシルを抱きしめる、、、そして、
ソヨヒト
「なんの力もない俺にそんなことを求めるなんてひどい女だシルは、、、本当に困った恋人だ、、、。」
シルもソヨヒトに抱きつく、、、いやしがみつく、、、離したくない、、、その思いから、、、シルの啜り泣く声がソヨヒトの心に突き刺さる、、、ソヨヒトはシルの頭を撫でてなにも言えなでいた。
けれど、もう二人に言葉はいらない。
程なくしてシルは眠りについた、、、。
ソヨヒトはそれを見守りシルの寝顔を見る。
シルの寝顔を見て感じる、、、幼い少女の様だと、、、。
ソヨヒトは考えていた、、、なぜ?シルはこの話をしたのか?俺を失う恐怖で身を震えながらも、、、いや、、、初めからわかっていた、シルは本当に俺が好きなんだ、だから俺に誠実でいたいと願い、邪だった気持ちですら俺に受け止めてもらいたいと、、、その願いゆえにこの話をしたのだろう、、、。
正直に言う、俺はシルが好きだ!!
もう義妹だから、家族だからなんて、浅はかな思いで誤魔化すのではなく、、、一人女として俺はシルが好きだ、、、
俺はどうしようもない気持ちに駆られてシルを包み込んで寝た。
夢を見た、、、幼い頃の夢、
私は星が好きだった、母からは夜は怖い魔物が出るから屋敷から出るなと言われていたけど、目を盗んで屋根の上に寝っ転がり星空を眺めた、、、とても綺麗だった、、、。
嫌なことがいっぱいあった、、、けれど星空だけはいつも綺麗に輝いていた。
逃れる日々はいつしか私達を深い森の中に追いやり、いよいよ逃げ場がなくなって行く、、、。
そんな時、魔王が討たれたという一報が届く、母も皆も心から喜んだ、、、これで平和の世が訪れる、、、森を出てまた星が見れる、、、はずだった、、、。
同族同士で争いが始まった、、、魔王との戦争の時より状況が悪化している、、、
お義父さんが現れて助けてくれた、、、
お父さんに誘われてこっちの世界に来た、、、けれど空を見上げても大好きな星は見れなかった、、、。
もう星は見れない、、、
そう感じた、、、。
でも、今の私にはソヨヒトがいる、、、
あなたのそばにいるだけで、世界がこんなにも色鮮やかに思えるなんて、、、刹那の時でもいい、、、喜びも悲しみもあなたとともに、、、
今はそれで充分、、、私の大切な梵人、、、。