一学期最後の日
ソヨヒトは教室の自席いわゆる主人公席で、窓の外を眺めていた。
トオル
「なんだなんだ〜主人公席様!!お決まりの黄昏ですか?」
イケメントオルが物思いにふけているのを邪魔してくる。
ソヨヒト
「いいんだよ!!これは主人公席のお約束なんだから!!」
トオル
「いやほんとわかりやすいなぁ〜お前!!席替えで移動したまら真っ先にそれする?」
ソヨヒト
「お前だって主人公の友達席で、お決まりのちょっかいしてるじゃないか!!」
今日は夏休み前の最後の登校日、明日から夏休みだと言うのに、なぜかホームルームで席替えが決まった。
そしてソヨヒトは見事に主人公席をゲット!!トオルは主人公にちょっかいを出す主人公の前の席、つまり友達席に決まった。
残念なのがシルとは学年が、さおりとはクラスが違うので、ヒロイン席に座る人はいるけどヒロインは不在となっている。
隣の席の女子
「トオル君とタダノ君なに二人で戯れてるの?あっそうだ!!トオル君!!、、、、」
俺の隣の女子は俺を出汁にして、トオルとお近づきになりたい様だ、二人で話し始めたので再び窓の外を見る。
ソヨヒト
(午後からシラカワ先輩に呼び出されてるのって、、、やっぱりあの話かなぁ〜?)
放課後、憂鬱な気分のなか呼び出されている生徒会室に向かう。
ソヨヒト
「失礼します。」
ソヨヒトはノックをしてドアを開ける。
応接ソファーにシラカワ先輩が座っていて、ソヨヒトを見て立ち上がり、軽く会釈をする。
シラカワ先輩
「どうぞお入りください!ご足労ありがとうございます。こちらにお掛け下さい!!」
と、手で案内をする。
ソヨヒトは一礼をして案内された席に座る、、、。
ソヨヒト
「、、、あの〜?」
シラカワ先輩
「なんですか?ソヨヒト?」
ソヨヒト
「案内された席がなぜか隣なのですか?」
シラカワ先輩は、はて?って顔で
シラカワ先輩
「そうですね〜私がヒロインだからでしょうか?」
ソヨヒト
「、、、、」
シラカワ先輩
「ふふ!冗談です!!ソヨヒトは例の話はどう思いますか?」
ソヨヒトは例の話は当然理解している。けれどあえて、、、
ソヨヒト
「例の話とは?」
ソヨヒトの返答にシラカワ先輩は顔色ひとつ変えずに、、、
シラカワ先輩
「偽りの恋人関係の話です。」
当然だシルとさおりが話していた話だ、、、どうも二人は本気らしい、、、そこまでして、人を傷付けても得たいものなのだろうか?
ソヨヒト
「俺はこの話は、、、」
シラカワ先輩は俺の口に人差し指を押し付けて言葉を遮り、
シラカワ先輩
「私はそれで構いません!!要は私がソヨヒトを惚れさせればいいのです!!
だからソヨヒト!お願い!!偽りでもいいから私と付き合って下さい!!」
ソヨヒト
「、、、、」
シラカワ先輩
「安心して!!この偽りが終わる頃には私ではなくて、ソヨヒトが私に告白するのだから!!だからお願い今は、はい、、、とっ言って!!」
ソヨヒトは悩んでいた、、、それは時間で言えば刹那の時、それでもシズクには永遠とも思えたかもしれない、、、。
ソヨヒト
「はい、、、よろしくお願いしますシラカワ先輩。」
ソヨヒトの力無いその言葉を聞いた時、なぜか涙が流れていた。
シラカワ先輩
「ありがとうソヨヒト、、、よかった、、、。」
ソヨヒトはシラカワ先輩の涙を見て、瞬間的に鞄からハンカチを出す。
ソヨヒト
「これ、、、未使用ですよかったら、、、。」
シラカワ先輩はそれを受け取り嬉しそうな顔で、
シラカワ先輩
「もう〜私はあなたの先輩じゃないわ!!私のことはシズクと呼んで!ソヨヒト!!」
そう言ってソヨヒトから貰ったハンカチで涙を拭った。