表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界義妹  作者: 異世界転生希望者A
第1章 無駄に長い序章
14/534

にーさん

私に父と呼べる存在は居なかった、私が生まれてすぐに父は死んだ。


私のいた世界には邪竜と呼ばれた魔王が、数百年をかけて世界を征服しようとしていた。


父はエルフ族、獣人族、そして人族と協力して、魔王率いる魔族と、数百年間戦ったがエルフ王国は滅んてしまった。


王と王都を失ったエルフ民は、徐々に魔族に勢力圏を奪われていき、エルフ民は滅びるか魔族に降るかの選択肢しかなかった。


そんな絶望の中異世界から天人が降臨した。


天人はたちまち魔王を滅ぼし、争いの無い世界の新しい秩序をもたらした。


その人が私の義父ノリヒトさんだ。


この世界に降臨したノリヒトさんの願いは、邪なものだったが、それを知った母の猛アタックの末、ノリヒトさんの心を射止めた。


それから程なくして、私たちは異世界に引っ越すことになる。


はじめはすごく嫌だった、どんなところかわからない異世界に住む、確かにノリヒトさんは面白く、優しく、素敵な人だけどノリヒトさんには、異世界に妻子がいる。私たちの世界でも貴族が側室を持つのは当たり前、だけど母は、、、


結局、母の思惑通りに事後進み、私は地球に住むことになる。


地球は思っていたよりも良かった、いいえ思っていた以上に素敵な場所だった。


数百年も終わらない、戦いに明け暮れた血に塗られた元の世界に比べて、地球は平和で文明レベルも高く、比べ物ならないぐらいの治安の良さと、豊かな資源に人々は飢えを知らず、毎日勤勉に務める姿に、びっくりも悔しささえもあった。


けれど、ここでの暮らしに慣れたころ、この世界にも戦争がある事を知りショックを受けた。


こんな素敵な世界にも戦争があるなんて、鮮やかに見えた世界に対する期待が、大きな反動として返ってくる。(元の世界と何も変わらない)


そう思うとようになると、世界がモノクロに感じるようになっていた。


そんな時、ノリヒトさんの家族と再び出会った。


義母のサチさんは、母との関係性が、微妙であるのに、母と仲が良く2人で結託して義父をいさめてたりもする。


私に対しても


オカン

「まぁ〜なんでもて可愛いの〜お人形さんみたい〜私、ずっと娘が欲しかったの〜仲良くしましょうね!」


と、実の娘として迎えてくれた。


義兄のソヨヒトさんは、初めこそ警戒したものの、サチさんと同じで、私たちに優しく、ノリヒトさんの暴挙に同情と共感さえもしてくれる。


初めてBBQで会った異世界人の少年が、私の兄になるとは、、、兄は私よりも若いけど、物知りでとても賢い人だと思う、やはりご子息なだけあってノリヒトさんに似ている。


そんなソヨヒトさんに、居間でテレビを観ていた時にこんな質問をしてみた。


シル

「結局、この世界も戦争に明け暮れて、今も人々が苦しんでるんですね、、、」


その日に見たテレビのニュースは、他国で始まった新たな紛争を伝えていた。


ソヨヒト

「異世界の事はわからないけど、この世界は二度の世界大戦を経験している。

まぁ〜俺には戦争の良し悪しを判断する知恵が無いので、なんとも言えないけど、俺自身は戦争は嫌いだね、だから、少しずつ少しずつ俺みたいな戦争を嫌う人々が増えたから、昔よりも戦争の規模は小さくなってきたんだと信じたい、、、」


私は彼の何気ないその言葉に感動を覚えた。


なぜなら悠久の時を生きるエルフには無い発想だからだ。


私たちエルフは、平均で1000年は生きる。


それゆえに、世代の交代も遅く個々の遺恨も残りやすい。


けれど、人族、特に地球の人々は100年も生きれない、ゆえに世代交代が早いので、エルフに比べて個々が持つ遺恨が残りにくいのかもしれない。


また、ソヨヒトさんの人の良さを感じるのは、とてもデリケートな話題にたいして、主観的に話す事がなく、事実を述べて、わからない事は素直にわからないと言い、自分の考えを肯定する事なく、それでいて自分の思いも相手に伝え、話の終わりを完結にするのではなく願いとしたこと。


とても16歳の子供が出来ることでは無いと思った。

少なくとも私は出来ていなかった、、、。


彼は私よりもずっと大人なのかも知れない、、、。


彼の言葉で私の中にある。


モヤモヤ(遺恨)が少しずつ消えてゆく。

そう〜少しずつ少しずつでいい、、、。


私は悠久の時を生きれるのだから、、、。


親愛を込めて彼をにーさんと呼ぼう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ