旅、最後の夜③
二人でベットに入り、電気を消す、、、
昨日の様に、シルは俺の背中に抱きついている、、、
(何とは言わないけど、ちょっとあたってドキドキ)
「にーさん背中あったかい、、、」
そう言いながら、体を寄せて来る。
「なんでだろ、、、にーさんと一緒にいると
全ての事がどうでも良くなる、、、安心する」
、、、、
「俺もシルにそう思ってもらって安心する」
「家族旅行すごく楽しかった!」
「そうだね!こんなにシルと仲良くなれて俺も嬉しいよ」
「ずっとこのままでいればいいのに、、、」
、、、、
「オトンにお願いして、また来年も家族旅行連れてもらおう、、、お兄さんに!
まかせなさ〜い!!」
「、、、うん、、、約束ね、、、」
「大丈夫、、、俺らは家族なんだから、、、」
「、、、そうだね、、、」
「お義父さん、次はどんなところ連れてくれるかなぁ?」
「まだまだこの世界には素敵な場所がいっぱいあるよ、、、」
「シルはこの世界はどう思う?」
ふと、以前シルから聞いたこの世界の感想を思い出し、聞いてみたくなった。
シルと全然親しくなかった。3月頃だっと思う。
たまたま、居間でTVを見ていたら、こんな質問をされた。
「結局、この世界も戦争に明け暮れて、今も人々が苦しんでるんですね、、、」
なんとも言えない質問、今俺に身を寄せている。幼い少女が聞いてきた質問とは思えない、、、それとも一人言、、、だったのかもしれない、、、どう解したのかハッキリとは覚えてない、、、でも、これ以降シルは俺をにーさんと呼び、少しづつ溶け込む様に、俺との距離を縮めてくれた、、、そんな気がしてる、、、。
シルはしばらく黙り込んで、
「残酷だけど、、、素敵な世界、、、」
と言った、、、。
しばらくの沈黙のあと、
「にーさんは?どう思ってるの?」
そう聞かれた、、、
「そうだな、、、世界の有り様が、どうであれ、今あるシルとの時間を、大切にしたいかなぁ、、、」
そう言うと、シルは俺を強く抱きしめ、、、
「、、、、バカぁ、、、」
とだけ言った。
気がつくと、シルから寝息が聞こえている、、、
どうやらもう寝たらしい、、、
この2日でわかった事、確信したことがあった。
俺の側で、安らかに眠るこの少女は、おそらく
エルフの王女、、、誰かに言われた、聞かれた訳じゃ無いが、オトンの向こうでの立場と、
ローネさんシルの教養レベル、普段の言動を考えれば、何となく察しがつく。
何らかの理由でこっちの世界に、亡命に近い感じできたのだろ、、、オトンも、二人も素性を明かさないのは、俺に知る必要が無いから、、、、
なら俺は知らないふりをすれば良い、
俺はそう思って寝た。