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クラウスがソルの顔を見て驚き、パッとレオンの方を見た。
「あぁ、ミレーヌと僕の子だ。僕自身も知ったのは最近だけどね。ミレーヌによく似ているだろう。今日クラウスを呼んだのはこの子のこともあるんだ。」
「なるほど。お前の言ってた大切な人か。納得だよ。」
「ソルと言います。よろしくお願いします。」
「あぁ。レオンとミレーヌの子に会える日が来るなんてな。それと、こっちの子は?」
クラウスはリヒトの方を見て訪ねた。
「リヒトと言います。よろしくお願いします。」
「ミリューでの事件覚えてるか?あの事件で捕えたラークの娘さんの身元引受人だよ。」
「あぁ、君が。ルミエは大丈夫かい?」
「はい。花を自分が思うように人の為に使えるようになって、生き生きしてます。」
「それはよかった。この国の王子としてルミエには申し訳ないと思ってるよ。孤児たちがラークのような大人に利用されないよう守ってやらなければならないのに。」
「いえ、従わされていたとはいえルミエがしてはならない事をしてしまったのは事実なので。これからはルミエが人を傷つけるようなことはしないと僕がお約束します。」
リヒトはクラウスの目を真っすぐに見つめ真剣な眼差しで誓った。
「君がいればルミエももう大丈夫だろう。それにしてもリヒト。君は面白い魔力を持っているようだな。ちょっといいか?」
そう言ってクラウスはリヒトに手をかざした。
リヒトはフワッと暖かな光に包まれた。
するとクラウスの眉がわずかにピクッと動いた。
「クラウス?」
「あぁ、なんでもない。リヒトの魔力は湧き出る泉のようだな。マナフルールの種から溢れ出ているようだ。」
「僕のマナフルール、バーベナなんです。」
「なるほど、『魔力』か。咲かせていなくても無意識に魔力が溢れ出てしまっている状態だな。余程花の力が強いらしい。是非魔法師団に欲しいくらいだ。」
そう言ってクラウスは笑った。
「今はローダンセを使うのに魔力を使って溜め込まないようにしてるんです。テレポートのようなことをすると魔力の消費が多くなるので。」
「花の力をブーストしてるんだな。本来なら魔力が溢れ出ないようコントロールする訓練をするんだが、そんなことしなくても自分でうまくコントロールできているとは。素晴らしいな。」
「さ、自己紹介はこのくらいにして本題に入ろうか。」
レオンが両手をパチンと合わせてそう言うと、みんなリビングのソファーに腰かけた。
「まずは僕とソルの話だ。ソルを僕とミレーヌの子だと正式に届出を出そうと思う。」
「ソルはミレーヌの子として届出は出されていないんだな?まぁ、王族であるわたしでさえ、ミレーヌに子がいると知らなかったのだからな。」
「後でその話もするけど、今はレイさんが拾った子という届けになってるんだ。」
レイはクラウスにとっても学生時代の先輩である。
そして、第一王子の同級生でもある。
ソルはフィーネでの小さな診療所の先生としてのレイしか知らないが、王族とのつながりもあることを知り、意外とすごい人なのかもしれないと思った。
「いいだろう。お前が嘘の届出をするとは思えないし、鑑定はわたしが責任をもって行おう。」
「感謝するよ。僕も信頼できるクラウスに鑑定してほしくて届出をする前に内密に話をしたんだ。」
「誰が鑑定をしたとしても結果が変わることはないと思うけどな。鑑定結果を捻じ曲げることなんて王族ですらできないんだから。」
「ありえないことが起きるかもしれないと危惧してるんじゃないか。実際僕は墓荒らしの件で信じられない出来事を目の当たりにしたんだから。」
「死人が生き返ったとか言う幽霊騒動のことか?あれは魔力で虚像を作り上げてるに過ぎないだろ。」
「ここからが報告書には書いていない話だ。少し長くなるが聞いてくれ。墓荒らしの件の前にまずミレーヌが生きていたころの話からなんだ。」
「あぁ、構わない。話してくれ。」




