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3日後の朝、ソル達はリヒトのローダンセでレオンの家へ飛んだ。
「意外と可愛い家具が揃ってるよね。僕も初めて来た時びっくりしちゃった。ソルのお母さんの趣味なんだってさ。」
「言われてみればフィーネの家の家具と似てるな。」
「ソルのお母さんの写真もいっぱい飾ってあるよ。」
リヒトは自分の家のように紹介して回っていた。
「みんなの写真も飾らないとね。家が賑やかになって嬉しいよ。男の一人暮らしは寂しいものだからね。」
レオンは嬉しそうに笑いながら言った。
「奥の部屋に荷物置いておいで。ずっと使ってなかった部屋だけど、昨日ちゃんと掃除しておいたから。」
ソル達は荷物を持って奥の部屋へ入った。
レオンの言った通りずっと使っていなかったようで、がらんとした部屋に布団だけが置いてあり、生活感を感じない部屋だった。
「レオンさんひとりだと何部屋も使わないよね。」
「本当だったら母さんとここで暮らすつもりだったんだよな。」
「お前も一緒にな。」
シエルがそっと言った。
ローブの男がいなければ、ミレーヌとレオンは結婚し、ここでソルを育てたのだろう。
ソル達の間に沈黙が流れた。
するとソルの隣にソレイユが現れた。
「ソルはさ、お母さんとの思い出とこれからのレオンさんとの関係を大切にすればいいんだよ。」
「そうだよ、ソレイユくんの言う通り。ミレーヌもきっとそう望んでる。ローブの男とはみんなで必ず決着をつけよう。」
部屋の扉の方から声がしてソル達が振り返ると、レオンが笑顔で立っていた。
いつの間にかソレイユもレオンの隣に立ち「うん、うん。」とうなずいていた。
「さあ、みんな。お茶を淹れたよ。」
ソル達は荷物を置くとリビングへ戻り、みんなでお茶を飲みながら時間を過ごした。
少し重くなりかけた空気はすっかり和んでいた。
しばらくするとコンコンと玄関の扉をノックする音が聞こえてきた。
「来たみたいだね。」
レオンが扉を開けると栗色の髪の男性が立っていた。
「早かったな。」
「誰かに見つかると面倒だからな。朝食を食べ終わった後すぐに出てきたんだ。」
レオンはその男性を家に招き入れソル達に紹介した。
「僕とミレーヌの同級生なんだ。カイたちとももちろん面識がある。」
「「はじめまして。」」
ソル達は男性に挨拶をした。
「シエルは初めましてじゃないぞ。何度も会ったことがある。随分小さい時だったからな、覚えてないかもしれないが。」
男性はそう言うと指をパチンと鳴らした。
すると男性の髪は栗色から銀色に変化した。
その髪色を見てシエルは目を見開いて驚いた。
「あなたは…。」
「驚かせちゃったね。彼はクラウス。この国の第二王子殿下だよ。」
それを聞いてソルとリヒトも目を見開いて驚いた。
そしてソル達は慌てて胸に手を当て頭を下げた。
「いいよ、いいよ。今日はレオンの友人として来てるんだ。その為に魔法で姿も変えてきたのさ。」
「あれが魔法…。初めて見ました。」
「あの、魔力量も変化してるような気がするんですが。」
シエルがそう言うと、クラウスはわずかに驚いた顔をした。
「シエルくんは魔力が見えるのか。さすがカイの息子だな。さっきの魔法の本質は認識阻害なんだ。君のように魔力を感知できる人間が見ても私だとわからないようにしてある。レオンにはこの姿で会いすぎて隠せないけどな。」
そう言ってクラウスは笑った。
「クラウスが本気を出したら僕にだってわからないさ。僕にだけわかるように加減して魔法を使ってるだけだろ。」
レオンがそう言うと、クラウスは「まあな。」と言ってまた笑った。
「それで、そっちの子は…。おい、レオン、この子まさか…。」




