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植物園に戻るとステラが出迎えてくれた。


「神父さんには今日はここで休んでもらうことにしたわ。」


「ありがとう。」


話していると奥からラムル博士が顔を出した。


「レオンさんじゃないですか。お久しぶりですね。どうしてこちらに?」


「パパ、お知り合い?」


「あぁ。騎士団長さんだよ。姉さんたちの親友でもあるんだ。」


「まぁ、そうなんですね。じゃあもしかして墓荒らしと幽霊騒動の調査に?」


「そんなところかな。犯人は逃がしてしまったけど。」


今回レオンはブランがどう動くのか、どんな技を使ってくるのかが全く分からなかったため、下手に動くことができなかった。

騎士団員は普段マナフルールの力を使わず、剣で戦うことが多い。

自分のマナフルールを知られてしまうと、事前に対策を取られてしまう恐れがあるからだ。


「あっ!僕たち宿屋に荷物置いたままだよ!」


リヒトが大きな声で言った。


「ひとまずヴェルオーに戻ろうか。」


レオンがそう言うと、ソル達はリヒトを囲むように円になった。


「じゃあステラ、博士、また後で。レオンさんも今日は植物園に泊まっていくから準備宜しく!」


リヒトはそう言ってローダンセを咲かせ、ヴェルオーの宿屋に飛び立った。


宿屋の部屋に着くと、レオンが静かに話し出した。


「君たちの活躍はすごかったね。僕は何もできなかったよ。すまないね。」


「いや、レオンさんはあえて動かなかったんだ。それで正解だったと思う。近くにブランやローブの男の仲間がいる可能性を考えて、それに対処できるよう俺たちから離れず警戒しててくれた。それに、ローブの男が背後にいるのであれば、レオンさんの力を使うのは今じゃない。」


「シエルくんはそんなところまで気付いてたんだね。さすがだよ。」


「ただいま。」


気付くとソレイユがベッドに腰かけていた。


「リヤンの両親の魂は無事に送り届けてきたよ。」


リヤンの両親は終始晴れやかな顔をしていたそうだ。

一時は操られていたが、最後はソル達が初めて会った時のように明るく子供想いの素敵な夫婦に戻っていた。


「ルダンにお墓を移したら俺たちもお墓参りさせてもらおう。」


ソルが笑顔でそう言った。


「ところでソレイユくんにききたいことがあるんだけど。君はリヤンくんの両親とは違うんだよね?」


「そうだね。僕はリヤンの両親みたいに実体があるわけじゃないから正しく幽霊だね。それに僕の場合魔力もマナフルールの種も体の中にあるわけじゃないけど唯一この花は咲かせられるんだ。」


そう言ってソレイユは青いバラを掌の上に咲かせた。


「生きてる人みたいに自由に力を使えるわけではないけどね。観賞用って感じかな。きっと使おうと思えば使えるんだろうけど制限があるのは自分でも感じてるんだ。次にこの花の真の力を使ったら僕は幽霊としても存在できなくなるだろうってね。まぁ幽霊としてみんなとこうして話ができること自体が『奇跡』なんだけどね。」


「リヤンの両親はバラの花びらを使わなくてもソレイユと話せてたよね。」


「もともとはこちら側の人だからね。とは言っても亡くなった人と交流したのは初めてだけどね。父さんと母さんだって死んでから会ったことも話したこともないよ。存在は感じるけどね。」


レオンは少し寂しそうな顔で「そうか。」とつぶやいた。

死者と交流できるならミレーヌもと考えていたのだ。


「ソルのお母さんの存在も感じるよ。すごくおだやかで温かい魂だ。今まではわからなかったけど、ソルと繋がってから感じるようになったんだ。」


レオンはホッとした顔をした。

レオンはミレーヌの事がずっと気がかりだったのだ。

レイの話を聞いてからミレーヌが亡くなってからも辛い思いをしているのではないか、悲しく寂しい思いを抱えているのではないかと心配だったのだ。


「ミレーヌが苦しんでないのなら安心したよ。」


「そういえば、博士はソルの生い立ちのこと知らないの?」


植物園でラムル博士はレオンの事を『騎士団長』で『シエルの両親の親友』だと紹介していた。


「親である僕自身も知らなかったことだからね。カイたちも身内であっても話すべきではないと思ったんだろう。事情を知る人間が多くなるとその分危険も増えるからね。ミレーヌに子供がいることは知っていても、それがソルだとは思っていないだろうね。」


「このまま隠しておくの?」


「いや、ローブの男と決着をつけるためにも考えていることがあるんだ。」



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