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32

次の日、ソル達は朝食を食べるとリヤンの両親の家へ向かった。


「一応保護をかけとくよ。」


そう言ってシエルはヒイラギを降らせた。

ふと思い出したようにソルはポケットに手をあて魔力を流した。


「ねぇ、ドア少し開いてない?」


「本当だ。閉め忘れてるのかな?」


ソル達はわずかに開いたドアの隙間から中に声をかけた。


「おはようございます。昨日お会いしたリヤンの友達ですけど…。」


返事は返ってこなかった。

ソル達はおそるおそるドアを開けた。

家の中は静まり返っていた。


「ドアも閉めずに出かけちゃったのかな?」


「いや、違う。」


いつの間にか中へ入っていたシエルがつぶやくように言った。


「テーブルの上に食べかけの朝食が残ってる。こんな中途半端な状況で出かけるなんて余程のことがない限りあり得ない。」


シエルが言ったように、テーブルの上には少しだけ手が付けられた朝食が2人分並べられていた。

朝食は少し冷めてはいるがまだ温かかった。


『ルダンの孤児院へ向かって!』


ソルがハッとして隣を見るとソレイユが真剣な顔をして立っていた。

周りを見渡してもやはりソレイユに気付いている人はいないようだった。


『僕の気のせいかもしれないけど、リヤンを呼ぶ悲痛な声が聞こえるんだ。この声はあの夫婦だよ。』


ソルは一瞬悩んだが、心を決めて叫んだ。


「ルダンだ!リヤンのところに行くぞ!」


「ソル、いきなりどうしたの?」


リヒトはソルの声に驚いたように言った。

ソルは意を決してポケットからバラの花びらを取り出した。


「お前、それ。」


「俺の隣にソレイユがいる。ソレイユがリヤンの両親の声が聞こえるって言ってるんだ。悲痛な声でリヤンを呼んでるって。頼む、信じてくれ!」


「わかった。リヒト、頼む。」


シエルはソルの言葉を受け入れリヒトにローダンセを咲かせるよう頼んだ。

リヒトも少しも疑うことなく「OK!」と言ってローダンセを咲かせた。

ソルは驚いたが、バラの花びらを握りしめ絞り出すように「みんな、ありがとう。」とつぶやいた。

レオンは優しく微笑み、ソルの頭をポンポンとなでた。

みんながリヒトの周りに集まるとローダンセがくるくると回り始めた。


ルダンに降り立つと、ソルがちょっとだけ待っててくれ。

と言って自分の部屋へ走っていった。

戻ってきたソルの手にはバラの花びらが握られていた。

ソルはシエルたちに1枚ずつその花びらを手渡した。


「花びらに魔力を込めてみてくれ。」


シエル達が花びらに魔力を込めると、花びらがフワッと光った。


「え!?シエルそっくりだ!」


リヒトは驚いたようにソルの隣を見ている。

シエルは何も言わないが、驚いたように目を見開いていた。


「やぁ、はじめまして。」


ソレイユはニコッと笑って手を振った。


「僕もこれでだいぶ動きやすくなったよ。僕とソルを信じてくれてありがとう。とりあえず孤児院に向かおう。リヤンの両親の声が強くなってる。」


ソル達は急いで孤児院に向かった。


協会の扉を開けると、そこにはリヤンの両親が立っていた。

リヤンの両親の前には神父さんが倒れていた。


「何やってるんだ!?」


ソルは急いでタンポポの綿毛を飛ばし、神父さんからリヤンの両親を引き離した。

神父さんは意識はあるようで、震える手で後ろを指さした。

ソル達が後ろを振り向くと、孤児院の扉の横で壁に背中を預けて立っている女性がいた。


「お前は…。」


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