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23

ソルは部屋に戻ると、ハンカチを取り出し机の上に広げた。

そして、もらった花びらの1枚を手のひらに乗せそっと魔力を込めた。

すると手のひらからキラキラと光が溢れ、花びらに吸い込まれていった。

魔力を込めた花びらはハンカチに包んでポケットに入れた。

残りの花びらは小さな箱に入れて引き出しにしまっておくことにした。


「これでいいんだよな?」


「ありがとう。」


ソレイユの声が聞こえてソルは部屋を見渡したが、ソレイユの姿はなかった。

どうやら姿を現さなくても声だけ伝えてくることもできるようだ。


「なんか生きてる人間より有能な気がするんだけど。」


「そんなことないよ。」


さっきと違いハッキリとベッドの方から声が聞こえ見てみると、ソレイユがベッドに腰掛けていた。


「ソルが花びらを持ってるからここにいるだけで、それ以外は庭園の花とお墓にしか行けないんだから。」


ソルはソレイユを幽霊のようなものだと思っていたが、幽霊のように自由に動き回ることはできないようだ。

『まぁ俺、霊感全くないけど。』とソルは思った。


「俺が花びらを持ち歩いてたらシエルとも話せるんじゃないか?」


「多分シエル自身が繋がりを感じてくれないと話せないんじゃないかな?今まで一度も気付いてないし。そもそもソルが僕のこと話したところでシエルは信じないでしょ。」


「確かに。」とソルは頷いた。

シエルは霊的なものを一切信じてなさそうである。

ソルがソレイユがいると話したところで「そんなわけないだろ。」と言われるだけだろう。

ソレイユの存在を信じてもらう方法を考える必要がありそうだ。


「繋がる方法を思い付くまでは僕のことはソルと僕だけの秘密だね。あれこれ話してシエルが不審に思ったりしたら余計繋がれなくなっちゃいそうだし。それはそうと博士たち、帰ってきたみたいだよ。」


そう言ってソレイユはスッと消えた。


「ただいま。」とリヒトたちの声が下から聞こえてきた。

ソルが下へ降りていくとシエルは既に降りてきていた。

リヒトとルミエはたくさん買い物をしたようで手にいっぱいの荷物を抱えていた。


「ステラ、お土産があるのよ。」


そう言ってルミエはステラの三つ編みの先に赤いリボンを結んだ。


「うん、やっぱり似合うわ。きっとステラの帽子にも合うわよ。」


「わぁ、可愛い!ありがとう、毎日つけるわ。」


贈ったルミエも贈られたステラもとても嬉しそうに笑っている。


「お菓子も買ってきたからみんなでおやつにしようよ。」


そう言ってリヒトがテーブルの上にクッキーの缶を置いた。

蓋を開けると色々な種類のクッキーが数枚ずつ入ったアソートになっていた。

ステラが人数分の紅茶を入れてテーブルに並べていった。


「そういえば、ノルエストの街でも1ヶ月前に墓荒らしがあったみたいだよ。」


「リヒトくん、墓荒らしの話はやめてくれよぉ。」


博士が何故だか怯えたように言った。


「博士は怖がりだなぁ。幽霊なんかいるわけないだろ。」


ソルは少しドキッとした。

ついさっきまで故人であるソレイユと会話していたのだ。

『いないってこともないんだけどなぁ。』とソルは思った。


「幽霊ってなんのこと?」


「墓荒らしがあったお墓に埋葬されてた人の姿が街で目撃されたって噂になってたんだよ。」


「墓荒らしされて怒ってるんだよぉ。」


博士がますます怯えている。


「見間違いだろ。墓荒らしがあったから先入観で幽霊だって思ったんじゃないのか?きっと普段だったらそんなわけないかって考えるけど、今の博士みたいに墓荒らしと結びつけて幽霊だって思い込んだんだよ。」


そうシエルが言うと博士以外は納得していた。

博士だけは相変わらず怯えていた。


「もう、パパは怖がりなんだから。」


ステラは博士を見て呆れていた。


「そうだ、ルミエ。孤児院にもお菓子持っていくんでしょ?わたしも一緒に行っていい?」


「えぇ、明日届けるつもりよ。是非一緒に行きましょう。」


「僕も一緒に行く。」


「じゃあ決まりね。リヒトもルミエも今日は疲れてるでしょう?よかったら夕食もうちで食べるといいわ。」


「やったぁ、いいの?じゃあお言葉に甘えて。」


リヒトとルミエはおやつを食べ終わると、荷物を置きに一旦家へ帰って行った。


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