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ソルとシエルは植物園の裏にある川を渡り少し小高い丘に出た。

その丘を登った先に墓地はあった。

ルダンの墓地は他にもあるようで、ここに建っている墓石の数はそんなに多くはなかった。


「うちのお墓はこれだ。」


半円型の墓石にはルーナとソレイユの名が刻まれている。

2人は墓石の前にしゃがむとそれぞれ自分の花を咲かせ供え、手を合わせた。


「はじめまして。ミレーヌとレオンの息子のソルです。」


ソルは静かに挨拶をしたあと、目を閉じ心の中で2人に話しかけた。


『ルーナさん、僕を守ってくれてありがとう。ソレイユ、シエルを助けてくれてありがとう。』


ゆっくりと目を開けシエルの方を見ると、シエルはまだ手を合わせ目を閉じていた。


『母さん、俺たちが必ずローブの男を捕まえる。父さんの仇をとるよ。ソレイユ、俺はお前が誇れる兄になる。2人とも見守っていてくれ。』


シエルは2人の墓石の前で決意を新たにしていた。

そして目を開くとすっと立ち上がりヒイラギの葉を降らせた。


「他の墓も確認しに行くぞ。」


ソルも立ち上がるとシエルに続いて歩き出した。

ひとつひとつのお墓を回り、荒らされていないことを確認すると、シエルはヒイラギを降らせていった。


「墓荒らしにあったお墓がひとつもなくてよかったな。」


「あぁ。ヒイラギの保護もかけといたし、しばらくは大丈夫だろ。」


ソルはもう一度ルーナとソレイユの墓石の前に立つと、「また来ます。」と元気な声で言い、ニコッと笑った。

「行くぞ。」とシエルが背を向け歩き出すと、ソルもそれに続いた。


「ソル。」


話しかけられたような気がしてソルは立ち止まり振り返った。

しかし辺りを見渡しても誰もいなかった。

そこにはただそよそよと暖かい風が吹いていた。


「何してるんだ、置いてくぞ。」


シエルはもう丘を下っていた。

「何でもないよ。」と言いながらソルはシエルを小走りで追った。


植物園に戻ると、ステラがお茶を用意してくれた。


「おかえり。わたしはちょっとパパの部屋片付けてくるわね。パパが帰ってくる前に終わらせないと。」


そう言ってステラはキッチンを出ていった。

シエルはお茶を飲み干すと調べ物をすると言って部屋へ戻っていった。

ソルは2人分のコップを片付けると、青いバラを見に庭園へ向かった。

ソレイユの誕生花であるその花は誇らしげに凛と咲いていた。

ソルが花にそっと手を掲げるとソルの手のひらがフワッと光り、カモミールの花びらがひらひらと舞った。

ソルはカモミールに『親交』の想いを込めていた。


「ソル。」


また呼ばれた気がして顔を上げると、そこにはシエルが立っていた。

しかしよく見ると顔はそっくりだがシエルとは瞳の色が違った。

シエルの瞳は深い青色だが、目の前の少年は空のような水色の瞳をしている。


「ソレイユ…なのか…?」


信じられないが、ソレイユ以外思いつかなかったソルは恐る恐るたずねた。


「そうだよ。さっきは挨拶しに来てくれてありがとう。シエル、なかなかとっつきにくいでしょ?ごめんね。でもあぁ見えて誰よりも熱い男なんだ。仲良くしてあげてね。」


ソルは驚いて数秒絶句してしまった。

ソレイユの話し方はシエルよりもリヒトに似ているような気がした。


「あ…あぁ。シエルが熱い男ってのは何となく分かるよ。」


「ずっとソルと話してみたかったんだ。シエルにも何度か話しかけたんだけど繋がれなくて…。何か条件があるのかな?そうだ、これを持っていて。」


そう言ってソレイユがソルに手を差し出すと、フワッと光り数枚の青いバラの花びらが現れた。


「これにソルの魔力を込めて持っていて。そうすればきっと繋がりが切れることはないから。」


ソルが花びらを受け取るとソレイユは消えていた。


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