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「ただいま。」
ソル達がルダンに戻るとステラとルミエが花の世話をしていた。
「おかえり。早速だけど花の世話手伝ってくれる?今日はパパが出掛けてるから人手が足りないの。」
「僕は配達があるから一旦帰るね。」
リヒトはそう言って帰って行った。
ソルとシエルは部屋に荷物を置くと庭園の花の世話をし始めた。
庭園には新しくアザミと桔梗が植えられていた。
「ルミエの花、植えたんだな。」
「ステラが植えたんだろ。ルミエの境遇を聞いてこれからはわたしもルミエの家族になるんだって意気込んでたからな。」
「ルミエはもう大丈夫だな。」
ソルは温室で楽しそうに花の世話をしているステラとルミエを見て心からそう思った。
ルミエはルダンに来てから孤児院の手伝いに行っているようだ。
奉仕活動としてというのもあるだろうが、ルミエは楽しんで手伝いをしているように見えた。
自分が育った孤児院ではイジメられていたため、はじめはとても緊張していたようだが今では子供たちはルミエをとても慕っていた。
「報復」や「触れないで」という花言葉もあるアザミを忌避されていたが、ルミエは「悪者がきたら私のアザミで追い返して守るからね」と子供たちに言っているらしい。
ルミエは自分の花を正しく自由に咲かせることができるようになったのだ。
「そういえば、シエルのお父さん達のお墓はどこにあるんだ?」
「父さんのお墓はセントラルにある。父さんが死んだ時はまだセントラルに住んでたからな。母さんのお墓は弟と一緒に植物園の裏の墓地にある。」
マナフルールの種は持ち主が亡くなると咲かなくなるため、墓地に一緒に埋葬することが多い。
しかし一緒に埋葬はせず自宅で自分の魔力を注いで咲かせる人もいる。
持ち主が咲かせたわけではないので花の力を使うことはできないが、故人を偲ぶために身近に咲かせたいという思いからだ。
庭園にある青いバラもシエルの弟の誕生花の種を植えてあるのだろう。
シエルが定期的にヒイラギの『保護』を使って大切にしている。
「なぁシエル、俺もシエルの家族のお墓に連れてってくれないか?挨拶したいんだ。」
「まぁ、俺も最近行ってなかったし、とりあえず母さんと弟のお墓参り行くか。」
ソルとシエルは昼からルダンの墓地へ行くことに決め、まずは昼ご飯を食べることにした。
一度部屋へ戻ってからキッチンに向かうとステラとルミエが昼ご飯を用意していた。
すると、配達を終えたリヒトが現れた。
「直接キッチンに飛んでこないでよ。びっくりするじゃない。」
「ごめん、ごめん。この時間ならみんなキッチンかなぁって考えてたらここに飛んじゃった。」
リヒトはへへっと笑った。
「それはそうとリヒト、このあとノルエストの植物園へパパを迎えに行ってほしいの。夜までに帰ってきてくれれば何時でもいいんだけど。」
「いいよ、午後は配達何も無いし。そうだ、ルミエも一緒に行く?ノルエストは賑やかな市場が有名なんだよ。市場で買い物してから博士を迎えに行こう。」
「行きたい。孤児院の子どもたちに何かお菓子でも買いたいわ。」
ルミエは目をキラキラ輝かせている。
それを見てリヒトも嬉しそうにニコニコ笑っている。
「俺たちはルダンの墓地へ行ってくる。」
「わかったわ。最近セントラル周辺のいくつかの街で墓荒らしが起きてるみたいだから、荒らされてるお墓がないかも一緒に確認してきて。この辺ではまだ墓荒らしの話は聞かないし大丈夫だと思うけど。」
「わかったよ。」
お昼ご飯を食べ終わると、それぞれ準備をして、リヒトたちはノルエストへ、ソル達はルダンの墓地へ向かった。




