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ミレーヌがフィーネで暮らすことになってから数ヶ月経つ頃、ルーナは臨月を迎えルダンに里帰りをしていた。
ルダンはセントラルからは離れているため安全だろうとミレーヌはレイと共にルーナに会いに行くことにした。
「久しぶり、ルーナ会いたかったわ。」
「ミレーヌ、元気だった?あなたのお腹もだいぶ大きくなったわね。」
手紙のやりとりはしていたものの気軽に会うことができなくなってしまっていたため、また再び会えたことに2人とも抱き合って喜びあった。
ルーナの実家の植物園は弟であるラムルが継いでいた。
ラムルには近所に住むソニアという婚約者がおり、マナフルールで治療ができるということで、結婚後は植物園兼診療所にする予定だ。
とは言っても今も毎日植物園へ来て希望者を診療してくれている。
ミレーヌが植物園に着いて半日ほど経った頃、ルーナが産気づいたのだ。
植物園は慌ただしく出産の準備に入った。
ラムルはカイに知らせるべくルダンの基地へ向かった。
各基地には魔法師団の人間が少なくとも一人はおり、魔法によって騎士団への連絡や報告も行っている。
そのため騎士団員であるカイへの連絡は基地からしてもらった方が早いのだ。
ラムルが連絡へ行っている間も植物園ではルーナのお産が進んでいた。
「頑張って、ルーナ。」
「お義姉さん、もう少しで子供達に会えますからね。」
気づけば時間は深夜になっていた。
ようやく2人の子供は生まれたが産声を上げていなかった。
「そんな…。どうして…。」
「ミレーヌ、子供たちにチガヤを!わたしは直接処置してみる!」
レイが叫ぶとミレーヌは胸の前で両手を祈るように繋ぐと、繋いだ手がフワッと光りチガヤが現れた。
チガヤには『子供の守護神』という花言葉がある。
チガヤが2人の子供の間にそっと舞い降りてくると、1人の子供の手から光があふれ青色のバラが凛と咲いた。
するともう1人の子供が元気に泣き始めたのだ。
泣いたと同時にバラはフワッと消え、バラを咲かせた子供の心臓は止まった。
何度も蘇生を試みたが息を吹き返すことはなかった。
ルーナは2人ともを抱き上げ泣き崩れた。
ミレーヌはそんなルーナをそっと抱き、一緒に泣いた。
翌日になってカイがルダンに到着した。
「側にいてやれなくてごめんな、ルーナ。」
「いいえ、大丈夫よ。この子たちを抱いてあげて。」
「あぁ、生まれてきてくれてありがとう。本当に可愛いな。」
カイの目から涙がこぼれた。
「この子たちの名前、決めてたんだ。シエルとソレイユだ。シエル、強く生きていこうな。ソレイユ、お兄ちゃんを助けてくれてありがとう。」
生まれてすぐに花を咲かせ『奇跡』を起こしたソレイユは魔力を使い果たしてしまった。
その影響からか誕生花の種が体の中から消失していた。
ソレイユはルダンの植物園で埋葬されることとなった。
ミレーヌはシエルの幸せな未来を祈ってチガヤの祝福を送った。




