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夕食が終わり食器を片付けると、先生がみんなにお茶を入れてくれた。
先生は自分の席に座りお茶を一口飲むと静かに話し始めた。
「ソル、話しておきたい事がある。」
「先生、どうしたの?」
いつになく真剣な先生の雰囲気にソルは何を言われるのかわからずドキリとした。
「ソルも成人花が咲いて、大人の仲間入りをした。
ここにはレオンもいるし、カイとルーナの息子であるシエルくんもいる。
今話すのがベストだと思うんだ。」
「…それって僕も聞いちゃっていいの?」
一人名前の挙がっていないリヒトが気まずそうに頬をポリポリかきながらたずねた。
「リヒトくんはソルを助けて一緒に戦ってくれたって聞いたよ。
そんなリヒトくんにも是非聞いてほしいんだ。
いいよね、レオン?」
「あぁ、そうだね。」
『騎士団長さんにも関係ある話なのか…?シエルの両親の名前も出てたし母さんの話か…?』
ソルは母親の思い出話かと思ったが、それにしては少し張り詰めた空気を感じて黙っていた。
「何から話したらいいかな。まずはソルの父親の話かな。」
「先生は俺の父さん知ってるのか?騎士団長さんも?」
「僕はミレーヌに子供がいた事も含めて今日知ったばかりだけどね。」
そういえば騎士団長さんはソルの顔を見て驚いたと言っていたなとソルは思い出していた。
「ソルくん、君の父親は僕だ。」
「え?」
ソルだけでなく、シエルやリヒトも驚いて言葉を失っている。
「突然びっくりするよね。でも僕とミレーヌは結婚の約束をしていたんだ。東部から帰ってきたら結婚するつもりだった。」
「レオンが東部へ行ってすぐミレーヌは妊娠に気付いたらしい。しかし、レオンが東部から帰ってくる前にミレーヌは死んでしまった。」
「でもなんで騎士団長さんに今日までずっと黙ってたんだ?」
結婚の約束をしていたのなら妊娠したことだって手紙でも何でも知らせたりする方法があったはずだ。
それにミレーヌが亡くなったとしても騎士団長に子供のことを告げないのは不自然だ。
「ソルを守るためだったんだ。ミレーヌとレオンに子供がいることを知られるわけにはいかなかった。ソルがミレーヌとレオンの子だというのはわたしとカイとルーナだけの秘密だったのさ。」
「どうして?」
「それは…、ミレーヌの死にも関係あるんだ。恐らくカイとルーナの死にも。」
「どういうことですか!?」
さっきまで賑やかに思い出話をしながら夕食をとっていた食卓には重苦しい空気が流れている。
わずかな沈黙のあと、先生はミレーヌが生きていた頃の話を語り始めた。




