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基地を出たソルたちは、夕食まで時間があるので一度ソルの家へ帰ることにした。


「ソルのアルバムはないの?」


リヒトが尋ねるとソルはクローゼットから一冊アルバムを取り出した。


「母さんがあまり写真が好きじゃなくてさ、母さんが生きてる頃の写真は少ないけど。」


ソルがそう言いながらアルバムをめくった。

1枚目の写真はミレーヌが産まれたばかりのソルを抱いて優しく微笑む写真だった。


「うわぁ、ソルってお母さんそっくりなんだね!」


リヒトがそう言って写真とソルの顔を交互に見ている。

シエルは別の写真を少し驚いたように見ていた。


「シエル?」


「俺の母さんだ。」


「え?」


ソルがシエルの視線の先にある写真を見ると、ソルを抱いたミレーヌの隣に一人の女性が太陽のような笑顔で写っていた。


「ほんとだ、ルーナおばさんだ。そういえば騎士団長さんとソルのお母さんも知り合いだって言ってたよね。みんな昔からの知り合いだったのかな?」


「だからうちの植物園にソルが来ることになったんじゃないか?レオンさんと診療所の先生も知り合いだって言ってたし、診療所の先生はソルの母親とうちが繋がりがあるってわかってて紹介したんだろ。」


「なるほどね、先生らしいな。」


考えてみればルダンまで行かなくても研究室を兼ねた植物園は他にも何か所かある。

ソルの母親との繋がりを考えてくれたのは、先生の優しさと愛情の表れだろう。

ソルは改めて先生に感謝した。


「きっとソルが小さい頃に両親が亡くなっても真っ直ぐ育ったのは先生が近くにいてくれたからだね。」


「リヒトだって同じだろ?」


「僕の場合はルーナおばさん達だろうね。まぁ僕はルーナおばさんの子供であるシエルより真っ直ぐに育ったけどね。」


リヒトが得意気に言うと、シエルが無言でリヒトの頭にゲンコツを落とした。


「痛いよ、シエル〜。」


リヒトは涙目で頭の上をさすっていた。


「孤児院にはさ、色んな子がいるんだよ。いたずらをして、それでも自分を見捨てないか試すような子もいるし、他の子に意地悪をして自分のほうが上だと示そうとする子もいる。もちろんそんな子ばかりじゃないけどね。親からもらえないものを必死に求めてるんだ。神父さんやシスターも毎日1人だけを相手にしているわけではないからね、どうしても手が回らない。もらわれていった先で大切にしてもらえればいいけど、ルミエのようにどうしようもないやつに引き取られてしまうことだってある。」


「ルミエはリヒトの愛情で助かったじゃないか。親がいたっていなくたって周りにはたくさんの人がいるんだ。家族でも友達でも恋人でも、自分を大切に思ってくれる人の存在に気づく事ができればいつだって人は真っすぐ前を向けるんだよ。」


「僕の愛情…。」


リヒトは顔を真っ赤に染めてつぶやいた。

リヒトはどうやらモテている割にとてもピュアだったようだ。


「そろそろ夕飯の時間じゃないか?」


シエルがそう言って窓の外を見ると空はオレンジ色に染まっていた。

3人が診療所へ向かう道中、リヒトは何度も「愛情…」とつぶやきながら顔を真っ赤に染めていた。




診療所の扉を開けると美味しそうな匂いが広がっていた。


「ソルー、お皿を並べておいてー。」


奥から先生の声が聞こえた。

「はーい。」とソルは慣れた手つきで戸棚からお皿やカトラリーを取り出し並べていった。

母親が生きていた頃もソルはここで何度も食事をした。

どこに何がしまってあるのか全て把握している。


「レイさんちの子のようだね。」


振り向くと騎士団長のレオンが扉のところに立って笑っていた。


「母が亡くなってからずっと先生に育ててもらったんで、ここが第二の実家です。」


ソルがそう言うと、レオンが少し寂しそうに微笑んで「そうか。」と答えた。


「さぁ、できたぞ〜。」


そう言ってキッチンから先生がチキンを乗せた大きなお皿を運んできた。


「次はスープを持ってくるから、レオンはチキンを切り分けておいて。」


「レイさんは相変わらず人使いが荒いね〜。僕いま来たとこなんだけど。」


「わたしは采配がうまいんだよ。レオンを超える指揮官になれるかもね。」


そう冗談を言いながら、先生はキッチンへ戻っていった。

スープを持って先生が戻ってきた時にはチキンはきれいに切り分けられそれぞれのお皿に盛り付けられていた。


「ほら、昔から獣を解体するのはレオンが一番上手で早かったからね〜。さぁ食べよう。」


みんな席に着き、盛り付けられた料理を食べ始めた。


「解体は僕の方がうまかったけど、狩りはやっぱりカイには敵わなかったなぁ。」


レオンが懐かしむように笑いながら言った。


「そういえば先生は俺の親も知ってるんですか?」


「レオンが東部に行く1年前まではわたしもセントラルにいたからね。レオンがよくカイを連れてきてたんだよ。競争だ何だって2人ともよく怪我してたからね。」


「ルーナおばさんがよく言ってた。」


「ルーナもよく一緒についてきてたよ。最初のうちはカイが怪我するたびに心配してたけど、そのうち呆れて怒ってたよ。」


「想像できます。」


「ミレーヌも卒業してすぐにうちで働いていたから、レオンとカイが来るたびにルーナと一緒に呆れて怒ってたよ。カイにもレオンにもね。」


「それでうちに母さんとシエルのお母さんの写真があったのか。」


「本当に4人は仲が良かったよ。」


先生はあたたかな顔で微笑んだ。

思い出話をしながら夕食の時間は過ぎていった。


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