序章 (1)
処女作でございます。文章の勉強なんてしてこなかったしそんな才能があるとも思っていません。
ですが頭の中でネタを考える日々に飽いたのです。
重度の中二病故にアイタタタと思っても笑ってあげてください。
せいぜい訪れた方の暇つぶし程度になれば幸いでございます。
3/1 改稿しました。詳細はあとがきをご覧ください。
----- 日常の終わり/非日常の始まり -----
その日は多少天気が悪くても普段と変わらない、なんてことのない一日のはずだった。
「ゆずー、そろそろ帰ろうよ」
そうやって声をかけてきたのは野村 蓮華隣のクラスにいる俺の幼馴染で親友だ。
見た目は典型的なお嬢様って所だろうか?
烏の濡れ羽色をした黒く艶やかな髪、雪のような白い肌、鈴の音を思わせるキレイな声、さらに容姿だけでなく勉強の成績は上位グループの常連だし運動神経だって頭抜けている。
天は二物を与えずなんて言うけどありゃぁ嘘だね。本人的にそれがいい事かどうかは別として……。
男に告白された数は高校に入学して1年半経ってそろそろ300を中学までの分を合わせたら超えるんではないだろうか?
そんなどうでもいいことを考えつつ「すぐに追いつくから下駄箱で待っててくれ」と返事をした。
さて、蓮華でも人を待たせていることだし手早く帰宅準備をして追いつかないとね。
空の弁当箱よし、課題も持ったし図書館で借りた本もカバンに入れた。携帯も……ちゃんと上着のポケットに入ってるな、うん。
学校に携帯を忘れるのはわりと……いや、だいぶ悲惨な事態になるからな。
そんな悲惨な事態に陥るのは一度で十分だ。アレ以来帰宅時の携帯チェックは欠かせなくなった。
などとアレコレ荷物をまとめ下駄箱まで到着すると蓮華は新入生っぽい男子から告白されていた。
あらあら、カワイソウに……。彼はこの後地獄を見ることが確定している。
キッパリとゴメンナサイされただけなら枕を濡らすぐらいで済むんだろうが、哀れなことに追加で羞恥と悶絶する事実も待っているのだ。
もう少しだけ蓮華について説明をしておくことにする。
『容姿端麗成績優秀運動抜群な完全無欠な美少女』であるのは先に説明した通りであるが正確には
『容姿端麗成績優秀運動抜群な完全無欠な美少女に見える男』
なのである。奴の最たる欠点が『性別が男である』ここに尽きると思われる。
150cmという高校生男子にしては低めの身長、とても男のものとは思えない声、そしてあの容姿、どこをどう見たって男には見えない。どう考えても生まれてくる性別を間違えている。
もちろん本人にそんな事を言ったらぶっ飛ばされるのがオチだ。
事実その手の発言を正面から告げて宙を舞った奴らを四人ほど知っている。
当然だが比喩表現的な意味でなく普通にぶっ飛ぶ。具体的には5mぐらい。
美少女然とした奴にメートル単位でぶっ飛ばされる光景はシュール以外の何物でもない。
さて、ついでだから俺の自己紹介もしておくことにする。
俺の名前は千野 柚太16歳、平凡な高校二年生だ。
柚太ってのは自分で言うのもなんだが変わった名前だと思う。
近しい奴らからはユズとかゆっさんとか呼ばれている。
成績はそれなりに上位、運動に関しては人並み程度、容姿は平凡と蓮華と比べたらまるで普通。
蓮華に勝っているところなんて身長ぐらいだろうか?因みに190cmな。
公言している趣味は山登り。登山なんて本格的なものでなくハイキング程度のものである。
特技兼隠れ趣味はロープ繰り。投げ縄みたいなものだと思ってくれれば問題無い。
55mのザイルを携帯する程度の変わった趣味なのである。川で溺れた小学生とか助けれるぜ?
そんな有意義に使えた経験なんて1回しかないわけだが……。
はじめた切欠は忍者に憧れたとかそんなガキっぽい理由であるがくだらない部分で案外重宝する。
特異面では霊感が強いらしい、と言っても何も無い奴に比べればと言うだけであってこんな方面すら蓮華の方が勝っているあたり実に規格外野郎である。
さて、突発イベントも無事終了したので帰路につく。
「しかし十月になってもお前に告白する奴が残ってたんだな」
「半年程度じゃ私の性別が認知されるには足りないって事なんでしょうか?」
そう答える蓮華の表情は苦虫でも噛み潰したようなしかめっ面だ。
「ま、そういうことだろうけどそればっかじゃないだろうな」
「んん?どういう意味?」
「噂じゃお前が男ってのは緘口令が布かれているらしいな」
「はぁ!?意味がわかんないよ!」
「先輩方の愛のある仕返しだろう。アレだけ熱心に勧誘されてるのに梨の礫じゃないか」
「だって部活動なんて柄じゃないよ……。読書とゲームとTVに時間が割けなくなるじゃないか!」
あぁ……そうだ。コイツってオタクの部類だったわ。所謂『隠れオタク』という奴だ。
学校じゃ擬態が完璧すぎて誰も本性は知らないはずだがこんな理由で断られる先輩も少し哀れだな。
うん、ちょっといぢめてあげようそうしよう。
「そんな理由で断られてると知ったら先輩方落ち込むぞ、きっと」
「ばれなきゃ大丈夫だよ。ほら私の擬態って完璧だし?」
「まぁ緘口令を布かれてるのもその擬態のせいだと思うけどな」
「はぇ?」
「つまりだ。お前の擬態って大人しいキャラだろ?だから余計に男に見えない。だから男から告白される羽目になるわけだ。そうしてまんまと騙されたうえに哀れにもお前に愛の告白なんてしちまった先輩方としては犠牲者を増やしたいんだろう。」
「えぇー…………」
ちょ、口からなんか出てるぞオイ。
「おーい、しっかりしろー、かえってこーい」
肩を掴みガクガク揺さぶると十秒ほどで帰ってきたらしく「……帰って寝る」とボソリ。
そうしてふらふらした足取りで自宅の方へ歩いていく。
オイオイ、大丈夫か蓮華……あ、電柱にぶつかりやがった。アレは痛そうだ。
うーむ、念の為に家まで一緒に行ってやるかな。きっと半分ぐらいは俺のせいだし。
「おーい、どうせ近所なんだし一人で帰ろうとするなよ」
―――――そうやって声をかけながら駆け寄ろうとした瞬間、空気が変わった。
「なんだありゃ……門か?」
見た感じ両開きの馬鹿でかい門扉だけが唐突に空中に現れた。
何この展開、意味が全くわかりません、がなんだかヤバイ予感がする。
俺はこの手の感が異常に鋭い、というか嫌な予感がして嫌な展開にならなかったことなんて無い。
的中率100%ってすごいよね!
まぁそんな事はどうでもいい。今はこの場から蓮華を連れて逃げ出すことの方が先決だ。
とりあえず呆然としている蓮華に近付こうとした所でやはり唐突に門が開いた。
しかも『ギギギギギ…………』なんて擬音とかでゆっくりじゃなく『バンッ』とでも鳴らんばかりの勢いで一気にだ。
正直コレは予想外。いや、現状何から何まで常識外だし些細なことかもしれないけどさ……。
オマケに門の先は真っ黒で向こう側が見えないのでとても嫌な感じだ。
「わわわっ!?なんか吸い込まれちゃう感じ?」
そんな蓮華の悲鳴でハッとする。
俺自身は吸い込まれていないようだがアイツは違う。
外灯にしがみ付いて耐えているようだが人間鯉幟状態で見た目がすごいシュールだ。
あわてて俺がロープ繰りでアイツの体にザイルを巻きつけるのと同時に近くの電柱に駆け寄った。
一人で踏ん張っても抗えないだろうし、とりあえずは反対をどこかに固定しないと拙い。
「ひゃわぁぁぁぁぁぁーーーっ!?」
「っておい!せめて反対をどこかに固定できるまで耐えててくれよっ!?」
電柱まで後三歩くらいだったのに……。
しかも心構えが出来なかったから俺まで一緒にあっさりと吸い込まれてしまいました。
ほら、やっぱりヤバイ予感的中じゃないか……。
―――――――――――そうして門を潜り抜けた先は空中でした。
「えぇぇ!?」
ちょっと待ってくれ何で空中なんだ。意味がわからないぞ……。
地表から何千mなのか離れているのか知らないが地表と俺達の間に雲がある。
コレは死んだ、パラシュートも無しに無理ゲー過ぎるだろ。
でもすぐに墜落死ということはなさそうだ。
なぜなら俺達は落下していない。何かに引き寄せられるように空を飛んでいるのだ。
30mぐらい先を飛んでいる蓮華を見るとどうやら意識が無いらしく四肢が完全に脱力している。
とりあえず合流しようと思いザイルを手繰ろうとしたら目的地に着いたらしい。
飛ばされる先にまた門があるのが見えたのだ。
見た目も大きさも同程度、違う点は最初から扉が開いているところか。
どうにもまたアレに吸い込まれると言うことらしい。
やはり門の先は真っ黒で見えない。やれやれ、今度はいったいどこに繋がっているのやら……。
せめて今度はいきなり死ぬ可能性の無い場所にしてくれよー?
などと諦めの境地の俺に更なる絶望がプレゼントされた。
ザイルの先にいる蓮華が門を潜った瞬間、俺には用が無いとばかりにバタンと閉じたのだ。
そりゃもう最初の門の時に開いた勢いと同様に一気にな!
「はぁっ!?」
そうやって叫んでしまっても無理は無いと思うんだ。
何から何まで予想外すぎる……。
あ、ダメだ……正面衝突コースです、本当にありがとうございました。
「痛いよ……」
とりあえず門扉に挟まれたザイルのおかげで墜落死は免れたらしい。
改めて門を観察して見るとなにやら番号が書いてある。
「37564246……みなごろしにしろ、か。なんて物騒な数字だ」
いや、そんな語呂合わせをすぐ思いついてしまう俺が物騒なんだろうか?
そんな事は無い、と思いたいなぁ……。
「さて、いつまでもこうしている訳にも行かないがどうするか……」
とりあえず現状を口に出して確認して見るがどうにもお手上げだった。
「地平線が丸くない、って事はやっぱり地球ではないんだろうな」
この高度から少しも地平線に丸みが見えないって事は相当ではないだろうか?
体力が無限にあるわけでも無いしこのままでは墜落死は免れないが現状を打破する手段も無い。
そうしてふと上を見上げると門が消えかけていることに気が付いた。
「ちょ、マジか!?」
ヤバイヤバイヤバイ、非常にヤバイ!!
門が消えてもザイルがそのままなら宙ぶらりんなんだろうがそんな確証は無い。
何より俺の感が告げているこのままではヤバイと。
さっきも言ったがこの手の感は的中率100%だ。あぁダメだ……コレは死んだ。
パラシュート無しでスカイダイビングとか洒落にならない。
あぁもうどうしようもないわ……と諦めたところで俺は自由落下を開始した。
哀れな柚太君は地面に叩きつけられその体は木っ端微塵になりました。
こうして柚太くんは短い生涯を閉じたのであった。
――――― 完 ―――――
いやいやいや、まだだ。
とりあえず死ぬまで生きることを諦めてたまるかっ!
とりあえず助けを求めることから始めようか。
「誰か助けてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
力の限り叫んでみるがコレで助かったら苦労しない。
さて、次は何をして足掻いてみようかな。
と、思考の海に沈む直前「いいわよ、助けてあげる」そんな声が聞こえた。
えぇ?予想外すぎる。今日一日で予想外すぎるって何度言えば気が済むんだか知らないが予想外なことばかり起こる今日が悪いのだ。俺は悪くない。
などと考えているうちにふわりと落下速度が緩くなった。
何がなんだかわからない。
周囲を見渡しても声の主の姿は見えず、どういう原理で落下速度が緩くなったかもわからない。
頭の中は疑問符だらけである。
それでもわかったことは、なんとか墜落死は免れたらしいという事それだけである。
とりあえず声の主は俺の前に姿を現す気がなさそうだし地表に降りるまでにこの速度だと随分かかりそうなので周囲を観察して見ることにした。
「ふーむ、やっぱり地球じゃないな。」
アレコレ観察してからそう呟く。
山や森林に草原、海らしきものこの辺りは地球上にもあるだろうが規模が違う。
こんな広大な森林が地球上にあるなんて聞いたことが無い。
何より宙に浮かぶ島が点在しているのが決定的だ。
あんなものはマンガやアニメの中でしか見られないものだと思っていたんだがなぁ……。
どう考えても地球ではない。ではどこに来たのか?
そんな事わかるはずが無い。異世界の存在なんて信じていなかったし地球以外に生命がいる星も知らないからだ。
既に俺の知っている常識とはかけ離れた出来事が頻発しているのでいまさらどんな事実が出てきてもあまり驚くようなことはないだろうな、なんとなくだがそう思った。
色々と思考に沈んだ時間も過ぎ段々と地面が近づいてきて、ようやく地に足を付けることが出来そうだと思うと同時に予感がした。
――――――これは簡単に帰れそうにないなぁ……と、本当になんとなくだがそんな予感が。
ついカッとなって書いた。すでに公開している。
社会人のため更新ペースは1週間に1度出来ればいいところでしょうか?
まぁなんにせよ犀は投げられたのです。完結を目指して頑張ります。
3/1 追記
諸事情によりほぼ全面改稿開始しました。
もうだいぶ変わっているので始めから読み直すこと推奨です、ゴメンナサイ。
新第1部分は旧版の第1部分~第2部分の終盤ぐらいまでになりました。
今後も1部分あたりを今まで2,000字だったのが5,000字程度になります。
因みにこの数字は改行と空白を含みません。
改稿するにいたった理由は設定の不備もありますが説明でだらだらと話数を稼ぐのが嫌なのでなら一話あたりの分量を増やしてしまおう。
そんな理由もあったりします。
次話以降も改稿が終わり次第上書きして行きますのでよろしくお願いします。
今後の予定に関しては活動報告をご覧ください。
Twitterの方は愚痴とか作者近状です。