表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/70

第52話


 雨粒が大きくなり勢いも強くなってきた。



『じゃあ、お風呂いただきますね』


『では、拙者も……』


『おいそこの偽武士、セクハラしてんじゃねぇぞ』


『セクハラじゃないもん。恋人なんだからいいでしょ』


『いや、良くないですよ真利亜さん』


『ふくれっ面してもダメだぞ。コウ、さっさと入れ。こいつは俺がガードしとくわ』


『ったく。コウを困らせるなよ』


『困ったコウ君の顔、可愛くない?』


『……お前なぁ。でも、以前と比べたらコウの表情が豊かになってきた気がするな』


『でしょう? お兄ちゃんはコウ君の笑顔って見たことある? めっちゃ可愛いのよ! あと照れた顔も可愛い! ていうか全部可愛い!』


『真利亜……自分が楽しむのもいいが、ちゃんとコウにも気を使えよ。あいつは幸せにならないといけない奴なんだよ』


『何それ? 私はそんなに自分勝手じゃないし。お兄ちゃんに言われなくても、コウ君は私が責任を持って幸せにするから』


『安心できねぇなぁ』


『あ、そうだ聞いてよ。今日のデート中に飲み物をコンビニで買って戻ったら、コウ君が女三人組に絡まれていてさ。マリンタワーの場所を聞かれていたみたいで、コウ君は丁寧に教えていたのよ。でも、わかりづらいからついて来てくれませんか? ってアホでしょ! 完全にコウ君を狙っていたね。すっ飛んで行って蹴散らしたけど、あの雌共許さん!』


『どこで聞かれたんだよ?』


『桜木町の駅前』


『そこからだとマリンタワーの目視は難しいだろ。気にしすぎじゃね?』


『いや、気にするね!』


『お前だって、しょっちゅうナンパされてんだろ?』


『私は一蹴できるからいいのよ』


『コウはフラフラついて行くような奴じゃない。信じてやれよ』


『わかってるけど、指一本でもコウ君に触れられたくないんだよね。前に二人で野球観戦しに行った時もさ、点が入ったら周りの人とハイタッチしていたんだけど、コウ君にハイタッチした女がいたからすっごいムカついたなぁ。その後はコウ君と女をハイタッチさせまいと、必死にガードしたもん』


『お前、独占欲丸出しじゃねぇか。コウと出会うまでのお前は、男と付き合うとか考えられないし時間が勿体ない、そもそも男を好きになったことがないし興味もない。とか言って、冷めた態度だったのにな。人間って、変わるもんだな』


『フフッ、そうね。私もこんな風になるとは思わなかった。でもね、すっごく幸せ!』


『……良かったな』


『お兄ちゃんもでしょ? コウ君のことは自分のこと以上に喜ぶじゃん』


『さっきも言っただろ。あいつは幸せにならんといけない奴だ。俺はそれだけを考えて生きている』


『お兄ちゃんも変わったね……でもいいと思う。それでは、絶対にコウ君を幸せにするぞという強い意志を持って、掛け声いきましょう! えい、えい、おー!』



 不快感しかなかった三本目を飲み終えた賢吾は、全身ずぶ濡れになっていた。

 大量の雨粒が顔を濡らし、髪からは水滴が落ちている。



『大宮真利亜さんで間違いないですか?』


『……はい』


『身体中撃たれていますが、恐らく致命傷は頭への銃弾です』


『……ぐふっ……うう……』


『ご存知かと思われますが、今回の事件は爆破が主であり、被害に遭われたほとんどの方は四肢がなかったり、身元がわからない状態であったりしています』


『だから……何だ? 何が言いたい?』


『逆撫でするつもりではないのですが……』


『五体満足で死んだから良かった。とでも言いたいのか?』


『……生前の姿を見れないご遺族の方々もいらっしゃいます』


『だから何だと言っているんだよ! 殺されているのは一緒だろうが!』


『はい、仰る通りです』


『出てけ!』


『申し訳ありませんが、ご遺体に何かされては困ります。離れるわけにはいきません』


『死んでいる真利亜に何かするとでも? 貴様……喧嘩を売っているのか?』


『申し訳ありません。規則ですので』


『じゃあ、こっちが出ていきゃいいんだろう! コウ、行くぞ!』


『……ったく。何でだよ、何で真利亜が殺されなくちゃいけなかったんだ。何なんだよマジでさぁ! 畜生! ……ふぐっ……ぐっ……うう』


『何で……クソ……ぐっ。ん? ……コウ?』


『……』


『コ……コウ?』


『……』


『コウ! しっかりしろ!』


『……はっ……はぁはぁ……はっはっは』


『コウ……どうした?』


『うううぁああ……はぁはぁはぁ』


『誰かぁ! 誰か来てくれ! コウが……コウが死ぬ!』


『どうされました?』


『……コウが』


『まずい! 早く救急車を!』


『コウ!』


 四本目が終わった。


面白かったら☆とブクマをどうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ