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黙示録のラッパ吹き 〜魔法師世界で魔法が使えない少年〜  作者: 岩月敬一
学年別クラス対抗戦編
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第五十三話 作戦が上手くハマった

 

「「ガアアアァァ!」」


 こっちに迫っていたFクラスの炎魔法使いに攻撃しようとした瞬間、俺の身体は突然痺れ出した。


(くっ、なんで急に痺れ出した!? 敵の水魔法使いと雷魔法使いはガレイスが見てる筈だろ!)


 そう思いながら俺は横で同じく痺れてるガレイスを一瞥してから道の奥にいるFクラスの二人の方に視線を向ける。


(なっ、動いてないだと!? じゃあこの水魔法と雷魔法は何なんだ!)


 今俺とガレイスの足は水に浸かっている。恐らくガレイスが作った足場の下にあった大量の水の一部が伸びて来て、その水を伝って雷魔法を流したんだ。


 それは分かる。だがこれは誰の水魔法による物なんだ? 原則、水魔法で作られた水を操れるのはそれを作り出した本人だけだと決まってる。


 つまり下にある水を操れるのは向こうにいる眼鏡の女だけの筈だ。なのに何でこの水は伸びて来たんだ!


「"炎陽放射えんようほうしゃ"!」


 この意味が分からない状況に戸惑っていると、右側の家の屋根にいた炎魔法使いがまた見た事が無いような炎魔法の使い方でこちらに迫って来る。


 炎魔法使いが迫って来たのと同時に操られていた水は下に落ちて行って、身体に電気は流れなくなった。でも痺れは残ってるからあいつの攻撃を防げるほど身体が動かない。


 くっ、このままだとマズイ!


「"断崖土壁だんがいどへき"!」


「なっ、もう動けんのかよ! "炎陽放射えんようほうしゃ"!」


 しかし炎魔法使いの攻撃が来る前に突然現れた土の壁がそいつ動きを止めた。そしてその壁を見るや否やそいつは掌を前に移動させて、また炎魔法をジェット代わりにして俺達と少し距離を取った所に着地した。


「よくやったガレイス!」


 今の土壁はガレイスによる物だ。身体に痺れが残ってる中何とか気合いで魔法を使ったんだ。


 しかし気力を使い過ぎたんだろう、土壁を作り出した後ガレイスは肩で息をする程疲れていた。


「お前らみたいな劣等生に負ける訳にはいかないんだよ!」


 俺は再び両手を炎魔法使いに向けて、魔法を放つ準備をする。


「Fクラスが調子に乗るなよ! "炎炎か……「「グアアアアァァァ!」」


 しかし撃とうとした瞬間またもや俺とガレイスの身体が痺れて魔法は不発に終わった。ただでさえ息を切らしていたガレイスは今の痺れでついに膝を地面に付けてしまった。


(こ、今度はなんだ! 下から水は伸びて来てない筈だぞ!)


 俺は自分の足元を確認するがやはり水は伸びて来ていない。原理は分かってなかったが水が伸びて来てない以上俺達が雷魔法の電気を食らう道理……が…………。


(まさかっ)


 ある事に気付いた俺は痺れて自由の効かなくなった身体を無理矢理動かして道の奥の方を見る。


(しまった! すっかり警戒を怠ってた!)


 俺の視線の先には最初に道路を水浸しにした女の側にいる男が雷魔法の魔法陣を描いていた。


 そう、最初に雷魔法を水越しに撃ったあの男が今度は直接当てて来たんだ。


 本来ならガレイスがあいつの警戒をしてた筈なんだがさっきガレイスは身体中が痺れてる中無理矢理魔法を撃ったせいでそれ所じゃ無かった。


 それに加えて俺は炎魔法使いと足元の水に気を取られてた。つまりあいつの存在は完全に警戒の外だったんだ。


 くそっ、やらかした。


 それに今の雷魔法でガレイスはもう気絶寸前だから俺一人で何とかしないと。


「"炎陽放射えんようほうしゃ"!」


 俺達の身体が痺れて動かせなくなった瞬間炎魔法使いはガレイスの土壁の横から姿を現し、背中から炎魔法を放ちながら俺達の方に再び迫って来た。


「舐めるなああ!」


 ふざけるな! 俺はBクラスだぞ。お前らなんかに負けてたまるか!


 俺は痺れている身体を無理矢理動かして両手を真っ直ぐ迫っているそいつに向ける。


 大丈夫だ落ち着け。普通に撃てば俺の魔法の方が早い!


 俺はそう自分に言い聞かせて魔法を撃とうとする。しかし……


「がっ!」


 俺の両腕は突然水に呑まれて自由が効かなくなってしまった。


(今度は水だと!?)


 次々と色んな事が起こり過ぎて訳が分からなくなって来たぞ! この水はなんだ! どこから湧いて出た!


「歯ぁ食いしばれ!」


 俺が水の出どころを探していると、目の前まで来ていた炎魔法使いが一切減速せずに迫りながら大きく腕を振りかぶっていた。


 もう既に避けたり防いだり出来る距離じゃない。


(まさかこの俺がFクラスごときに負けるだと!?)


「ク、クソがああああああああ」


 そう叫んだ後俺は顔面に強い衝撃を感じてそこで意識が途絶えた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「よし、ネイル達の所は成功だ。作戦が上手くハマった」


「本当!?」


「ああ」


 俺は《《聞こえて来た》》声や音を元に隣にいたクララさんにそう伝える。

 

 人数的に有利だったとはいえFクラスがBクラスを倒したんだ。この事を知れば皆の士気が上がる。早く伝えねえとな。


「"爆光花火ばっこうはなび"!」


《ヒュ〜〜〜…………シュ〜〜》


 俺は二度目の"爆光花火ばっこうはなび"を空に向かって放つ。今回のはさっきのと違って緑色に明るく光って爆発せずに消えた。


 やっぱナツから教えてもらったこの魔法かなり便利だな。色とかを自由に変えられるし何より魔素量の少ない俺でも普通に扱える。


 ちなみにこの緑色の光はネイル達の作戦が成功したっていう合図だ。


「でも……上手く作戦がハマってよかったね」


 "爆光花火ばっこうはなび"の光が消えるとそうクララさんが俺に言ってくる。


「ああ、ネイル達の作戦で一番大事だったのはタイミングだからな。いくら練習を重ねてても本番次第な所があったから上手くいってよかったよ。ザンザス達も臨機応変に行動出来てたみたいだし」


 そう、ネイル達の作戦はタイミングが何よりも大切だった。まず敵が一番戸惑ってた二度目の水魔法と雷魔法、あれはサイエスとザンザスによる物じゃない。別の道路にいたメクルとドリアドによる物だ。


 まず最初にサイエスが大量の水を流して辺りを水浸しにさせた時、実はサイエスだけじゃ無くてメクルも同じ魔法を使って水を流していたんだ。だから向こうには下の水がサイエスの水魔法による水だけに見えてたけど、実際はメクルとサイエス両方の水が混じった物になっていた。


 だからサイエスが動いて無くても下の水を動かして敵の足元まで伸ばす事が出来たんだ。


 遠距離、しかも見えない場所の水を操るのはかなり難しいからメクルの奴練習の時かなり苦戦してたけど本番で上手く行ってよかったよ。


 そしてメクルは水を伸ばした後、そのままサイエス達の足元から水をどけてその水にドリアドが雷魔法をぶち込んだ。


 この二つの魔法のタイミングはネイル達の会話を聞いてる俺の"爆光花火ばっこうはなび"によって決められる。タイミングがズレてたらネイルがやられてたかもしれないし、もっとエラい事になってた可能性があった。だから俺の"爆光花火ばっこうはなび"のタイミングが一番重要だったんだ。


 他の道路にいる敵も巻き込めればよかったんだけどドリアドが意味の分からない所に雷魔法を使ったりメクルがいきなり水魔法を使ったりしてたから普通に警戒されて避けられてた。


 あと最初のサイエスとザンザスのを食らった奴もいたけどそこは食らってなかった他のメンバーがカバーしててみんなが攻め込む隙は無かったみたいだ。


「よし、作戦の第一段階は終わった。そろそろ出番が来るかもよクララさん」


「う、うん!」


 そして俺は再び結界内の音に耳を傾けた。


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