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黙示録のラッパ吹き 〜魔法師世界で魔法が使えない少年〜  作者: 岩月敬一
学年別クラス対抗戦編
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第五十二話 戦闘の火蓋が切られた


 ゴルギ先生の合図と共に白くなった視界が徐々に鮮明になって行く。鮮明になった視界の先では一回戦と同じように広がっている風景がさっきとはまるで変わっていた。


 こちらの端からBクラスのいる端まで伸びている大きな通りが横に5本並んでいてそれぞれの道の間に大小色んな建物が十数件ずつ並んでいた。


 今回の地形は『街』か。一番練習してた地形だったからよかった。


 実は大会で使われる予定の地形は予め各クラスに通達されていた。だからどの地形でもある程度の作戦は考えていえ、『街』の作戦を一番練ってあった。


 みんなはその作戦通りにドリアドとライア、ネイルとサイエスとザンザス、メクルとライオットのグループになって、お互いのグループがカバーし合える程度に距離を保ったままグループごとに建物の陰に隠れながら徐々に前進して行く。


 ドリアド達が4つある建物の列の内右から二番目、ネイル達が一番右、そしてメクル達が左から二番目の列を進んでいた。


 残りのソウとクララはドリアド達の二軒後ろの建物で身を隠していた。本来なら俺が一緒に行動する筈だったグループだ。


「「「「……………………」」」」


 ある程度進んだ所でみんなは動きを止めて向こうの出方を伺い、そこからしばらく静寂が流れ始めた。向こうもある程度こっちの出方を伺ってるのか。


「っ、来るぞ!」


「"水龍双頭獄水砲すいりゅうそうとうごくすいほう"!」


 そしてしばらくしてから聞こえて来たソウの声と共に真ん中の通路に見た事がある水魔法が放たれた事によって戦闘の火蓋が切られた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ネイル君、ザンザス君、準備はいいですか?」


 真ん中の道路に大きな水魔法が撃たれたのが見えた所で一緒の建物の陰に隠れていたサイエスが俺とザンザスに確認を取ってくる。


 あの道路の横の建物にいたグループが一瞬気になったけどドリアドとメクルがいるしそこまで心配する必要は無えか。


 それよりもFクラスの最初の動き出しは俺達三人に掛かってるんだ。俺のやるべき事に集中しねえと。


 今のサイエスの確認は俺達に「そろそろ動くから集中しろ」って言ってるようなもんだ。


「俺は大丈夫っすよ」


「…………俺も行ける」


「よし…………ふぅ、それじゃあ行きますよ」


「「おう(はいっす)!」」


 確認を取り合い、少し呼吸を落ち着かせてから俺たち三人はサイエスの合図と共に一斉に一番右の道路に飛び出した。


 同じ道の7軒ぐらい向こう側に敵が二人ぐらいいるのが見えるけどそれはお構いなしだ。少し近かったのは驚いたけどむしろ居てくれて助かった。


「行きます、"大泳洪水だいえいこうずい"!」


 敵が二人向こうにいるのを確認するとサイエスは両手を大きく広げながら得意の水魔法を放つ。


 描かれた魔法陣から大量の水が流れ始め辺り一帯を水浸しにし始めて、あっという間にその水は7軒向こうにいる敵の所まで水浸しにした。


 この水がFクラスの戦闘開始の合図だ。この水と一緒に前線に立ってる他の二グループも動き始める。


 そして敵はというと、サイエスが突然放った魔法に疑問を浮かべている様子だった。当然だ。あいつらからすれば魔法が撃たれたかと思ったらただ下が水浸しになっただけだからな。


「ネイル君、ザンザス君!」


「よし、行くっすよネイル君!」


「おう、"炎陽放射えんようほうしゃ"!」


 まずは時間との戦いだ。相手の準備が出来る前に仕掛ける。


 相手がまだ動いてない間に俺は両手の掌に描いた魔法陣から炎を噴射して、その炎の勢いを利用して上に飛んで左側にあった家の屋根の上に着地する。


 そして掌の魔法陣は消して代わりに背中に同じ様な魔法陣を描き、いつでも魔法が撃てる様に準備をする。


 俺が屋根に上がったのを確認して間髪入れずにサイエスは自分の出した水を少し操り自分の周りだけ水を無くした。


 そして、さらに間髪居れずにザンザスが下にある水に手を突っ込んでそのまま魔法を放つ。


「行くっすよ、"雷来通らいらいつう"!」


 ザンザスが放った雷魔法はそのまま水を伝って敵側の方まで向かって行った。


 これが俺達の作戦の第一段階だ。サイエスが敵にも届くぐらい大量の水を地面に流して、俺は炎魔法をジェットの様に使って安全圏に移動する。そして最後にザンザスが得意の雷魔法で水越しに相手を痺れさせるっていう作戦だ。


 前の俺だったらこの攻撃をモロに喰らってだろうけど…………くそっ、やっぱあの二人は上手く防ぎやがったみたいだな。


 俺は背中にある魔法陣をさっきみたいにジェット代わりに使って2軒目の家の屋根の上を走りながらBクラスの二人が防いだ様子を確認した。


 二人はさっきまでそこに無かった筈の足場の上に立って水から逃げていた。多分どっちかが土魔法を使ったんだな。


「はっ、Fクラスにしては知恵を振り絞ったじゃないか」


「ああ、だが甘いな。お前らがいくら策を弄しても俺達相手には無駄なんだよ。例えばこの隙に一人近付いて来てる事もね!」


 そう言って俺から見て右側に立っていた男が俺の方に両手を向けて魔法を撃つ準備をする。一方で左側に立ってる男はサイエス達の方を見ていて俺の方を一切見ようとしてなかった。


 サイエス達からの攻撃を警戒してんのか。油断はあっても最低限の警戒はしてるっぽいな。流石はBクラスってことかよ。いくら俺達の事を見下しててもあからさまな隙が無え。


「"炎炎火砲えんえんかほう"!」


「くっ、"炎陽放射えんようほうしゃ"!」


 右側の男が炎魔法を撃って来たのを確認して俺はすぐに背中でジェット代わりの炎魔法を使って斜め上に避ける。


 ちなみに今あいつが撃ったのは炎魔法の中で言うと中級のちょっと下ぐらいの魔法だ。


「なに!? Fクラスが俺の魔法を避けただと!? それに何だその炎魔法の使い方は!」


 案の定ビックリしてる相手を他所に俺は心の中で少し安心する。


 あぶなっ、速度の遅い炎魔法でよかった。雷魔法とかだったら当たってたぞ今の。


 って息ついてる場合じゃねえ次だ!


「"爆光花火ばっこうはなび"!」


《ヒュ〜〜〜…………ドーン》


 そして着地した俺はすぐさま上空に向かって魔法を撃つ。その魔法はそのままゆっくりと上に向かって飛んである程度の高さになったら音と光を出しながら爆発した。


 ナツによると今の魔法は通信用の魔道具が開発された今となっては一切使われてないけど一昔前は信号弾として使われてたらしい。


 何でお前がそれを知ってんだって今でも思うけどとりあえずその事を考えてる余裕はねえ。


「はっ、何だその変な魔法は。せっかく偶然で俺の魔法を避けられたって言うのにやっぱり所詮はFクラスだな」


 そう言って右側の男はまた俺に手を向けて魔法を撃つ構えをする。


《ヒュ〜〜〜…………ドーン》


「"炎炎か……ガアアアァァ!」


 だが、その魔法が撃たれる前に爆発音が聞こえたかと思えばそいつは突然痺れて身体の自由が無くなった。

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