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黙示録のラッパ吹き 〜魔法師世界で魔法が使えない少年〜  作者: 岩月敬一
学年別クラス対抗戦編
39/90

第三十九話 お前らは十分強い!

《キーンコーンカーンコーン》


「よし、んじゃあ今日の授業を終わるぞ〜」


 チャイムの音が聞こえてきたため、オーズスタン先生は授業を切り上げた。


 ドリアド達の決闘から二週間、俺達Fクラスは特に変わった事無くいつも通りオーズスタン先生の授業を受けていた。俺、ソウ・アルクの隣の奴は決闘前とあいも変わらずすべての授業で寝てるし、今まで通り俺達は他のクラスの連中に蔑まれ続けている。いや、むしろありもしない事を言われるようになって酷くなったな。


 そんな中、大きく変わった事と言えばオーズスタン先生の雰囲気だ。決闘前はいつも気怠そうに何も考えていなさそうだったのに、ここ最近はずっと何かに怒っているような感じがする。


 ちなみにこの『ラーンベルト学園』では一つのクラスのすべての授業を担任の先生が教える事になっている。そのためクラスの成績の上がり具合は担任の先生の技量による所が大きいんだが、その点で言えば俺達Fクラスはオーズスタン先生だから恵まれている。


「え〜と、今から大事な話しようと思うからソウ、とりあえず今日の授業中お前の隣でずっと寝てたナツを起こしてくれ」


 オーズスタン先生に言われて、俺は隣でグースカ寝てるナツを起こそうとする。こいつよく全部の授業で寝れるな。


「分かりました。お〜い、ナツ起きろ〜」


「むにゃむにゃ…………おいおい、やめろよソウ。お前男だろ? 部屋で女装するのはいいけどその格好で街中を歩かないでくれよ……こっちまで恥ずかしくなる……よ……グー」


「おいナツ今すぐ起きろ! 今俺はお前の夢の中でどうなってんだ! 俺に女装の趣味なんて無えぞ! 何があればそんな夢を見るんだ!」


 変な寝言を言い出したナツを、俺は急いで肩を揺らしながら起こす。


「はっ! お、俺は……なにを……?」


「はあ、起きたか……」


 肩を揺らした甲斐もあってか、ナツを比較的早く起きた。よかった……あれ以上あの変な寝言を言われ続けてたら俺死ねる。


「あれ、ソウお前…………女装はどうした! お前にとっての生き甲斐じゃなかったのか!?」


「なっ、てめぇ寝ぼけてやがるな! 俺は女装なんてした事ねえし興味も無えよ! さっさと目を覚ましやがれ!」


 驚いた様子で俺の肩を掴んで来たナツを俺は必死に振り解こうとする。ていうかこいつマジで俺をどうしたいんだよ!


「よし、起きたな。それじゃあ大切な話を始めるぞ〜」


「ちょっと待ってくださいオーズスタン先生! その前にこいつなんとかして!」


 俺とナツの事を無視して話を始めようとする先生に俺は必死で訴えかける。


「ん? 何言ってんだソウ。ナツはもう目を覚ましてるぞ」


「…………え?」


 それを聞いた俺は恐る恐るナツの方を向く。


 いやいや、まさかな。


「ヒュー、ヒュー」


 こいつ…………嘘下手すぎだろ。そんな口笛で誤魔化そうとしてる奴初めて見たぞ。大体吹けてねえし。


「てめぇふざけんなよナツ! ていうかマジで何がしたいんだ! ハッキリ言ってわけわかんねえぞ! 今の嘘で何をやりたかったのか教えろ!」


「うわっ、揺らすな揺らすな! 脳が揺れる! 揺〜れ〜る〜!」


「…………まあ、お前らはいいか。傷付くようなたまに見えねえし。じゃあ今から話す事を全員よく聞いてくれ」


 オーズスタン先生は騒いでる俺とナツを置いて話を始めた。その事に気付いた俺はナツの両肩を持ったまま先生の方を向き、静かに耳を傾ける。オーズスタン先生の雰囲気が明らかに変わったからだ。


「先週ドリアド達が戦った決闘があったな。そしてその決闘でドリアド達は文句の付けようが無いほどの圧勝を見せてくれた。この事によって他のクラスの連中からのFクラスの扱いがよくなるって期待した奴が大半だろう。

 でもそうはならなかった。Sクラスのマイエルが、メクルが違法薬物を使ってたってそこら中に言いふらしてるからな」


 マイエルの事を小物って言った事に仮にも同じ学園にいる生徒に教授がそんな事言っていいのかツッコミそうになったが、ここはとりあえず抑えた。


「魔素量至上主義のクソ教師共も何人かがその話を真に受けて決闘に出てたメクル、そしてメクルが違法薬物を使っていると知っていながら止めなかったとしてナツとドリアドの三人を退学させた方がいいんじゃないかって言ってる。だがハッキリ言う」


 そこで先生は目の前の机に両手を打ち付ける。


「そんな奴等の言葉なんか耳を傾ける必要は無い。あんなのは現実をきちんと受け止めきれずに他人を蔑む事で心の不安を消し去ろうとする弱者のやる事だ。

 お前らは十分強い! それは今まで見てきた俺が保証する。だから誰になんて言われようと気にするんじゃねえ、全員自信を持て!」


 その言葉に俺達は圧倒された。担任が俺達を励ました事にじゃない。オーズスタン先生が熱くなっている事にだ。というのも、オーズスタン先生は熱くならない事でかなり有名な人だ。


 この学園を卒業した知人達が、オーズスタン先生が怠そうにしていない所を見た事が無いって言ってた程に、この先生は熱くならない。


 そんな先生が今熱く、そして心からの言葉で俺達を励ましている。その事に喜び、気分が高揚しない人なんていない訳がない。


 たしかに俺達は他のクラスのほとんどの連中から酷い扱いを受けている。だが、だがこの先生は俺達を真剣に見てくれ、そして考えてくれている。その事に嬉しくならないはずがない。


「…………まあ、なんだ。熱くなっちまったが、俺が言いたかったのはお前達は決して弱くないって事だ。………………ヤバイな。冷静になってみると今の俺結構恥ずかしかったな。ちょっと職員室に戻るわ。んじゃ」


 そう言った先生は少し恥ずかしそうに、そしてその恥じらっている自分を生徒に見られないように教室を出て行った。きっと今まで生徒に見せた事が無かった自分の一面を衝動のまま見せてしまった事が恥ずかしかったんだろう。


 そして教室に取り残された俺達は、一人一人がどうしようもない程の嬉しさを心の中で噛み締めていた。もちろんナツの両肩を掴んだままの俺も含めて。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



いつもお世話になっております岩月です。突然ではありますが、少し思うところがあったのでこの小説のタイトルを変更致しました。勝手な事をしてしまい申し訳ありませんが、内容には一切影響が無いのでご安心ください。

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