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黙示録のラッパ吹き 〜魔法師世界で魔法が使えない少年〜  作者: 岩月敬一
学年別クラス対抗戦編
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第三十三話 ええ、俺が出るの!?

「えっ、リンドウ君って貴族に伝があるの? ただの一庶民だと思ってたんだけど」


 皆の気持ちを代弁するかのようにライアが俺に聞いてくる。今までは王族であるイリーネがいきなり俺達の集団に話しかけて来た事に緊張して一言も喋れてなかったが俺の言葉への衝撃がその緊張を上回って何とか話せるようになったみたいだ。


 ちなみに、クララにはまだ話せる余裕が無い。


「まあ伝って言うか知り合いだな。爵位の事はよく分かんねえけど絶対に侯爵より上の奴だ」


「リンドウ君、その伝が誰なのか分からないけど王族である私ですら手をこまねいているのよ? この件を解決出来る人が本当にいるの?」


「ああ、あいつなら多分解決出来ると思う。それに、あいつはイリーネの言う事は聞かないと思うけど俺なら大丈夫だろ」


「へえ、王女殿下の言う事は聞かないのにナツ氏の言う事は聞く貴族であるか。そんなの本当にいるのであるか? かなり怪しいのであるよ」


 と、ここでメクルが当然の疑問を口にする。王族であるイリーネの言う事を聞かずに俺の言う事を聞く貴族。そんな存在はハッキリ言っておかしい。何せ王族の言う事を聞かないだけでもおかしいのだ。その上一庶民の夏の言う事を聞く存在などもはや異常だ。


「ああ、いるよ」


「ちなみにリンドウ君、その貴族ってどこの家なの? 貴族にも派閥があるとはいえ私達王族の話を聞かない所なんて無いと思うのだけど」


「悪るいけどそれは言えねえなイリーネ。俺があいつと知り合いってのは知られるとちょっとマズイんだ。まっ、時が来たら教えるよ」


「………………はあ、まあいいわ。その内教えてくれるなら今は聞かないでいてあげる。リンドウ君の言う事を信じるのであれば私の心配事は消えたわ。それで、残り二人のメンバーは決まってるの? 決まってないならもう決めた方がいいんじゃないかしら」


 しばらく考えてから俺からその貴族の事を聞くのを諦めたイリーネは心配していた事が解決したため、早速話題を変えた。


 急な話題の変化には驚いたが、たしかにイリーネの言う通りだ。決闘の時間までは授業があと二つ、つまり自由に話せる時間はこの昼休みを入れてあと二回しか無いのだ。今決めて置いた方がいいというのは的を得ている。


「ああ、それなら問題無いですよ王女様。ドリアド以外で出るのはメクルとナツですからね」


「「「「ええ!?」」」」


 ソウの急な発言に俺とメクル、クララにライアは大声を上げながら驚いた。逆に俺達が大声を上げた事に対して、イリーネは驚いた表情を見せた。


「いや、なんで貴方達が驚いてるの? 知らなかったの?」


「いや、知らねえって! なんならさっきその話をしてた所だぞ。どういう事だよソウ!」


「そ、そうですよアルク君! リンドウ君を危ない目に合わせるようなら容赦しませんよ!」


 突然の言葉に驚いている俺とクララは大声を上げながら理由を問い詰めようとする。クララなんて今までずっと緊張で喋れてなかったのに普通に叫べてるぐらい驚いてるぞ。


「お、落ち着けって。とりあえずクララ、決闘は結界の中で行われるから危険は無いぞ」


「…………あ、そうでしたね。すみませんアルク君。取り乱しました」


 ソウの言葉によって落ち着きを取り戻した。クララはすぐに引き、恥ずかしそうにしながら髪をいじり始めた。


「で、メンバーについてなんだけどこれはもうドリアドと決めてあったんだ」


「えっ、そうなのであるかドリアド氏?」


「うむ、そうだ。朝にソウからメンバーについてのアドバイスをもらってな、俺は頭が悪いからそれに従ったってわけだ」


 メクルがソウの言葉についてドリアドに聞くが、どうやら本当だったらしい。ドリアドは経緯を加えながら説明した。


「で、なんで俺らなんだ?」


「そりゃ、確実に勝つためだよ。ドリアドが今仲間を呼べるのは俺達五人の中にしかいない。その中で一番強いのがメクルとナツってわけだ」


「確実に勝つためなら私が出てもいいのだけど?」


「いや、それはダメですね王女様」


 イリーネが自分が出ることを提案するが、ソウはそれを否定する。


「仮に王女様が出て勝ったとしましょう。そしたら周りの俺達Fクラスを見る目はどうなると思うと思いますか?」


「どうって、私に伝がある人脈の長けた集団だな、とか?」


「いや、違います。勝つためにSクラス、しかも俺達の世代最強の人物を使った卑怯者って事になるんです」


「……それは流石にひねくれすぎじゃ無いかしら」


「甘いですよ王女様。俺達Fクラスは廊下を歩くだけでも馬鹿にされるんです。そんな奴等がなにか理由を付けて俺達を馬鹿にするのは目に見えてます。まあ、これは実際馬鹿にされた人にしかわからないから王女様には分からないかもしれませんが」


「っ!」


 ソウの最後の言葉にイリーネは言葉を失った。ソウとしては責めているつもりは無かったのだろうが、イリーネは自分が責められている気持ちになったのだろう。


 そしてその事に構わずソウは話を続ける。


「そこで、あいつらからそういった言葉を無くすには実力で圧倒するしか無い。そう判断したからメクルとナツが必要ってわけです」


 そう言いながらソウは俺とメクルの顔を見た。


《キーンコーンカーンコーン》


「おっ、昼休みももう終わりですね。じゃあ出るメンバーはそういう事だから。頑張れよお前ら」


 そう言いソウは立ち上がる。


「うわ〜、なんか他人事だなお前」


「そうであるよ。それに某正直自信が無いのであるよ?」


「うむ、まあ大丈夫だ。俺が付いている」


 そんなソウに続き、俺とメクル、そしてドリアドが立ち上がる。


「が、頑張ってねリンドウ君。私応援してるから」


「いや〜、クララは健気だね〜」


 そしてクララとライアも立ち上がり、全員が教室に戻り始めた。


「えっ、リンドウ君納得しちゃってるけど結局やるの!? ていうかちょっと待ちなさいよ!」


 で、最後にイリーネが屋上から出た。



 








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