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黙示録のラッパ吹き 〜魔法師世界で魔法が使えない少年〜  作者: 岩月敬一
学年別クラス対抗戦編
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第二十六話 この学園やべぇ!

 入学式の日以降の一ヶ月はごく普通の学園生活を俺達は送った。朝起き、昼は勉学などに勤しみ、夜は自主練など己の強化。時々、と言うよりかなりの回数、上のクラスから嫌がらせを受けていたがそれなりに充実した学園生活だった。


 そして四月下旬、入学当初から変わった事と言えば、俺達のグループに二人ほどメンバーが加わったという事だ。


「もうリンドウ君。またパンしか食べていないじゃないですか。そんなのでは栄養が偏ってしまいますよ。ほら、お弁当を作ってきたのでこれを食べてください」


 一人は同じクラスのクララ・サールドだ。彼女の髪は茶髪で、三つ編みを横に流した髪型をしている。Fクラスでは中心人物的存在で、学級委員長も担っている生徒だ。


 クララは後ろに置いてあった弁当箱を前に持って来て、それを俺の前で開ける。


「いや、いいって。俺はパンだけで満足なの。ていうかなんでいつも俺のために弁当作ってきてくれてるの? 大変じゃないの?」


「い、いえ。大変っていう事は無いですよ。私べ、弁当を作るのが趣味でして。つい作り過ぎてしまうんです。だ、だから決してリンドウ君のために作ってきてるわけではありません!」


「そう? 弁当を作るなんて変わった趣味だな。まあいいか、折角作ってくれたんだしありがたく貰っとくよ」


 そう言い俺は弁当箱に入っているサンドイッチを口に運ぶ。


「うん、美味いな。やっぱクララは料理作るのが上手だな」


「そ、そうですか。あ、ありがとうございます!」


「あはは、リンドウ君は鈍感だね〜。クララのこのあからさまな態度にも気付かないんだもん」


「だな、まさかナツがここまで鈍感だとは」


 そしてもう一人が髪を短く切った、ボーイッシュで活発な少女、ライア・レイベルだ。


 ライアとクララは俺達から何故オーズスタン先生がFクラスの担任になったか聞いた後、特にライアとソウが意気投合認める一緒に行動する様になった。


「ん? 鈍感? 何の話だ?」


「い、いえ何も無いですよリンドウ君! 気にしないでください!」


 そう言いクララはキリッとソウとライアを睨む。まあ、気にすんなって言われたら気にしない他無いな。


 今俺達は昼休みのため、屋上でご飯を食べている。『ラーンベルト学園』の昼休みは、食堂でご飯を買ってそれを食べるか、弁当を持ってきてそれを食べるか決める事が出来る。そのため俺はいつも食堂で手頃なパンを買って食べるが、最近はクララが弁当を作ってきてくれるので、もうその必要は無いかもしれない。


 ちなみに『ラーンベルト学園』の屋上は終始出入り自由のため、俺達以外にもかなり人はいる。


「そういえば話は変わるのであるが、もうすぐ『学年別クラス対抗戦』であるな」


 話題を変えるため、メクルが最近学園内で話が持ちきりである『学年別クラス対抗戦』の話をする。ただ、その話をメクルが始めると、ソウ、クララ、ライアは一気に重たい顔をした。メクルもやってしまったと思ったのだろう、やってしまったと言う感情があからさまに顔に出ている。


「あ〜、この話はしない方がいいのであるかな?」


「メンバーはどうするのだろうな? やっぱ日頃の授業の成果だろうか」


 メクルが気を利かせて話を終えようとするがドリアドがそれに気付かず話を続けてしまう。


「ああ、悪りぃドリアド。その前に『学年別クラス対抗戦』について聞いていいか?」


「ああ、まあそうだよな。ナツは知らなさそうか。俺が説明するよ」


 そう言いソウが続ける。


「『学年別クラス対抗戦』、通称『学別戦』。これはそれぞれのクラスから代表十人を選んで、団体で戦うトーナメント式の大会なんだ。この大会でいい働きをした人はたとえ下のクラスだろうと『魔技会』の代表になれるチャンスがあるし、逆に上のクラスでもこの大会でいい成績が残さなかったら『魔技会』の代表には一歩遠ざかる。この大会は外からもお客さんが沢山観に来る大掛かりな物で、楽しみにしている人も多い」


「へえ、なんか良さそうな物じゃんか。なんで皆さっきはあんな重たい顔をしたんだ?」


 俺がその質問を投げかけると、ソウは少し気まずそうな顔をした。


「いや〜、実はな。この大会、Fクラスだけ特別なルールが設けられてんだよ」


「特別なルール?」


「ああ、まあ、簡単に言うとな。Fクラスは大会の試合中に笑いを狙いに行かないと強制的に留年確定なんだ」


「……………………………………は?」


 ああ、あれか。聞き間違いかな? だってそうでしょ。流石に今の話はありえない。ありえなさすぎる。だって、ねえ? 笑いを狙いに行くなんてもうそれもう訳が分かんねえもん。そしてそれをやらなきゃ留年って、流石にな。ははっ。


「悪りぃソウ。ちょっと聞き間違ったみたいだ。もう一回言ってくれるか?」


「ああ分かった。いいか、Fクラスは笑いを狙いに行かないと強制的に留年が確定する」


 ああ〜、マジか。全・然聞き間違いじゃなかった。


「え〜と、ちなみになんで?」


「いや〜、なんかな。毎年Fクラスは一回戦負け、しかも完敗してるから、そんなんじゃ参加してる意味が無い。それに外からも観客が来てるのにそんな弱いと学園の恥になってしまうって事で、Fクラスはお笑い枠になったんだ。でもそんなのFクラスの生徒が容認するわけ無いって事で、留年という人質を取ったんだ」


「ああ、なるほど…………この学園やべえ!」


 すげぇ! そこまでハッキリとした差別は初めて聞いた!


「まあ、たしかにナツの言う通りやべえわな。だからFクラスに入った奴等は全員落ち込むんだよ。笑い物にされるんだからな」


《キーンコーンカーンコーン》


 と、そこでチャイムが鳴った。昼休みの終わりを告げるチャイムだ。


「たしかこの後はホームルームだったな。まあ、ソウの話にはかなり驚いたけど一旦戻るか」


「はい、そうしましょう。たしかこの後は……ちょうど『学別戦』の話でしたね」


「まあ、今年はドリアドちんがいるからなんとかでしょ!」


「いや、俺、ちんと呼ばれるの初めてだぞライア」


「えっ、いやだった?」


「いや、別に嫌では無いが」


「ならいいじゃんか、ドリアドちん!」


「う、うむ。しかしな〜」


「まあ、その論争は置いといて、たしかに今年は『栄光の世代』に次ぐ実力者と言われてるドリアドがいるんだ。なんとかなるだろ」


「うむ、ソウ氏の言う通りであるな。それに実技でステファニー先生に勝ったナツ氏がいるし、それなりに戦えるのかもしれないのである」


 そんな話をしながら俺達は教室に戻った。





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