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第二話 不思議な少年

 場面は打って変わって、空から降り注ぐ日光によって明るく照らされた屋外。玉座の間で起こった悲劇の詳細が世間に知られないまま日々が過ぎ去った後のとある日。とある国のとある学園で、一年に一度の大行事が行われようとしていた。


「はあ、来月からここに通うのか」


 そう呟いたのは、魔法が発展した今の時代には珍しい、刀を腰に携えた黒髪で十六くらいの少年だ。


 彼が今立っているのはリークレッド王国一番の魔法師養成学校『ラーンベルト学園』正門前。ここで行われようとしている大行事、入学試験に彼は参加しようとしている。


 まだ入学試験を行っていないのにも関わらず、もう通う事を考えている彼だが、余程自信があるのだろうか。


「おいおい見ろよあいつ。剣なんか持ってるぜ」


「うわっ、ほんとだ。ファッションか何かか? だとしてもイケてねえよな」


「ははっ、まったくだ剣なんか時代遅れだってのにな。まともに使えたとしても魔法師に勝てるわけねえよ」


 そんな彼を馬鹿にするような声が聞こえるが、彼は気にせずに校門に入る。その足取りは気怠げで、やる気が無いのが丸分かりだ。


「ちょっと、そこのあなた道を塞いでるわよ」


「ん?」


 そんな彼の後ろには金髪長髪の、明らかにお上品な少女が立っていた。おそらく少年の足取りが遅すぎて邪魔に思ったのだろう。ちなみに身長は少年と同じくらいだ。


「お、おいあれって」


「あ、ああ。この国の第二王女、イリーネ様だ」


「相変わらずお綺麗だな」


「ああ、それにお強い。何せあの『栄光の世代』の一人だからな」


 その少女を見ると、あちこちで浮き足立った声が聞こえて来た。


「ああ、悪りぃな。ちょっと疲れててよ」


「……へぇ、あなた。私に普通に接する事が出来るのね。それに剣なんか持ってるし、面白いわね」


 普通に道を譲った少年に、少女は興味深そうな視線を向ける。


「別に同級生になるかもしれない相手なんだからこの態度は普通だろ」


「ふふっ、いいわね私を恐れないその態度、気に入ったわ。あなたの名前は?」


「竜胆夏だ」


「リンドウナツ? 変わった名前ね」


「ああ、まあこの国の出身じゃねえからな。あまり気にしないでくれ」


「そう、分かったわ。私はイリーネ・ユグドラシル。この国の第二王女よ、あなたも合格したらその時はよろしくね」


 そう言い、手を伸ばして来たイリーネの手を握りながら、夏は答える。


「ああ、よろしく頼む」


「ふふっ、王女だということを知っても私の手を普通に取るなんて。面白いわねあなた。じゃあね、お互い入学試験頑張りましょう」


「ああ、またな」


 振り向きながら門をくぐるイリーネに夏に手を振る。


「この刀に関しては少ししか触れない……か。多分あいつはいい奴だな」


 そう言い、少し気分が良くなった夏は先程イリーネが通った門をくぐった。








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