隣国の聖女とやらが王太子に婚約破棄され捨てられ、我が国の王太子の婚約者として連れてこられたのですが、私はその人が恐ろしかったのですが聖女付きの侍女になってしまった子爵の6女です
私には上に5人もお姉さまたちがいました。
女の戦いは恐ろしく、私は早々にそこを離脱しました。
王宮に行儀見習いで侍女として入ったのはそれもあったのに…。
「聖女様が我が国に繁栄をもたらしてくれる!」
皆が隣国の聖女とやらを歓迎しました。隣国の王太子の心変わりで婚約破棄された聖女様がうちの国の王太子殿下と恋に落ちて婚約者にしたいとつれてきたんです。聖女がいなくなった隣国はその半年後に崩壊しました。あらゆる災害にあい内乱もおき、すべてが終わったと。しかし我が国は違うと王太子殿下は言われましたが、私は…。
婚約者だったアウレリア様は婚約解消されてしまい、アウレリア様付きの侍女の私は聖女様付きになることに…。
私は聖女様が誰よりも恐ろしかったのですが。
うちのお姉さまたちよりもっと…。
一番上のお姉さまは美貌を誇る人でした。男を微笑みのみで手玉にとる人。また口も上手いのです。
二番目のお姉さまは真面目でお堅いと言われましたが理論武装ならうちの家で一番でした。趣味は論破。
魔法学園にいったのでほっとしました。
三番目のお姉さまは気が強く傲慢さを誇る人でした。貴族の家にはこんな女性も多いそうです。
四番目のお姉さまは清楚で儚く、病弱ですべての人の庇護をそそるようでした。占いによく付き合わされましたが、年が近いことから気が合いましたが、そんなに体が弱くないことを家族は知ってました。
五番目のお姉さまはお金儲けが趣味でした。お金儲けのためならなんでもしましたが、まあ悪い人ではなかったのです。
平々凡々な六番目はそれなりにお姉さまたちに可愛がられていました。
しかし、女の戦いは恐ろしく皆が気が合わないお姉さまたち同士で戦うのをみるのが疲れたのです。
割りと特殊な性格の姉たちに囲まれて育ったからか女性にたいしてはそつなくこなせるようにはなりました。
しかし聖女様は恐ろしかった。姉たちすべてをあわせてもこれには敵わないという恐怖を感じました。
姉は姉でして、血の繋がりという安心感はあったのですが。
美しさは一番目の姉以上、儚さは四番目の姉以上、口の上手さは一番目と二番目をあわせても敵わない。
三番目の姉のような傲慢さはありませんですが、姉はみたらわかる傲慢さを持っていたのですが、この人は内にありました。
怖いと思いながらアウレリア様が敵わないのはわかりました。
微笑むだけで男を虜にする傾国。
その力のみで国すら支配できるかもしれない聖女。
この恐ろしさを理解はだれもしてくれない。
一人だけ、幼い第6王子のみが理解してくれましたが、彼は聖女に懐かないので王宮から追いやられていました。
気がつかれないようにしないといけない、私が聖女様を恐れているということを。
「あなた、私が怖いの?」
とても綺麗に聖女様が微笑んで言われたとき、背筋が冷たくなりました。
「い、いいえ」
「あなたといい、あの子供といい、物事の本質を直感的にわかる人もいるのね、ひとつだけあなたに忠告よ、逃げなさい」
怖い、私はなんとか恐れを振り払い、里帰りをお願いしました。あっさりと受け入れられ…。
私は第6王子と、お父様とお姉さまたちに手紙を書きました。
そして隣国の親戚をたより逃げたのです。
あまりにもあれは美しい人でした。しかし私はあの人が微笑むたびに虚ろを感じました怖かった。
生きる意思を持ち強く生きるお姉さまたちとは違ったのです。
私は王家が内部から崩壊したのを隣国で聞きました。
聖女を王や王子たちが取り合い、内乱となり…。
お姉さまたちやお父様はその前に逃げ出し無事で私は再会を喜びました。
第6王子のみ争いに参加していなかったので無事であり、内乱が終わり、外から攻めてきた国により聖女が奪い去られすべてが終わったのです。
「すべてを滅ぼす邪神…」
邪神が昔愛した女、一定周期で生まれ変わるその女が現れし時、世界が破滅へと向かう。
「まさか…」
第6王子と再会をしたとき、彼は図書室で見つけたその文献について語ったのです。
聖女はオルガ公国の王太子に見初められ、捕虜から婚約者になったそうですが。
私は第6王子とともに復興にあたりながらも、あれに手出しをしないよう書き残すことにしました。
私は数年後王子と婚約しました。恐ろしい聖女が今度はまた違う国に保護されたことを聞いたのです。
世界が滅びないように私は祈るしかできません、聖女が婚約破棄されて、違う国の王太子に見初められないよう…。
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