表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生きる居場所を探して  作者: みむまに
Girl
5/13

05

 いつもの私なら、すぐに目を逸らして逃げるように帰ったはずだ。


 だけど、なぜか足が動かなかった。怪我のせいだけではないのは何となく直感で分かった。目の前の女性の大きな瞳に捕らえられ、思っていた以上に整っている顔だったため驚いてしまった。何か話さないといけない。そうしないとあまりにも不自然だ。


「大丈夫ですか?」

「・・・えっ?」


 だいじょうぶ・・・?目の前の女性が口にした言葉は意外にも私を気遣うものだった。何に対しての「大丈夫」なのだろう。そんなに辛そうな顔をしていただろうか。しかし、どちらかと言うと私の方がそれを口にするべきではないかとも思った。

「隣、どうぞ?」

「・・・!」

 女性は私が座るためにベンチに置いていたリュックを下へ降ろした。3人くらいは座れそうなベンチではあったが、申し訳ないが私はこの場所自体に用はなかった。しかし私が最終バスを待つために立っていると思われたのだろう。


「あっ・・・ごめんなさい。このバス、私の家とは反対で・・・」

「・・・。」

 そう言うと女性は黙り込んでしまった。まずかっただろうか。しかしこう言わなければ家には帰れない。失礼かもしれないが後々嘘がばれるよりはマシだろうと思った。


「・・・わざわざ、すみません」

 念のためもう一度謝る。気を悪くしてしまっただろうか。


 女性は何も言わない。私と目が合わなくなってしまった。下を向いて、何かを考えているようにも見える。もしかして、怒られる?何が来てもいいように覚悟しないと。そう思った瞬間、彼女は顔を上げた。






「私、死ぬんです」



「・・・?」



「だけど、死ぬ場所をまだ決めてないんです」



「・・・は??」



「一緒に、探して貰えませんか?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ