恋の書き方は分からない
楽しんで頂ければ幸いです!
木枯らしが吹く、寒空の下…
でなく、とある学校にある温かい図書館に、顔もピンクの眼鏡も暗く陰った少女が座っていた。
「はぁ」
「どうしたんですか?」
うつ向く少女の前に一つの影がさしこむ。
「小説書いてるんですか」
「あぁ、後輩くん。恋愛小説得意でしょ?ねぇ、助けてよ!」
少女はガバッと顔を上げ、半泣きの顔を声の主に向ける。
あどけなさが残る後輩くんは苦笑いし、ハイハイとノートをのぞきこんだ。
「えーと…
『けんと、あのね…』
暗い闇に色とりどりの光が舞う空間で、少年少女は向き合っていた。
『あのね…私…』
少女の顔にピンクの光がかかる。
『私、けんとのことがすっ…』
『キャー!』
突如、二人の間に叫び声が割って入った。
『オマエタチノホシヲセイフクスル』
辺りに見たことのない生命体…UMA達が人々を襲い始めた。
少女はその様子を見て拳を握る。
『けんと、私けんとのことすごく信じてる。だから、一緒に戦っ…』
て、ちょっと待って!?何で?確かに先輩、SF好きなの知ってますけど、この展開は…ないでしょ…」
「だよねー」
後輩くんの言葉が先輩の心をさした。
「…どうしたらいいですか…」
目をうるうるさせ、後輩くんに質問する。
後輩くんは少し顔を背け、
「そうですね、簡単ですよ。好きな人のことを思い浮かべて書けばいいんですよ。」
「好きな人っねー。いないわー…後輩くんはいるんだよね?」
「えぇ、いますよ。近くに」
そして、後輩くんは温かい笑顔を向けた。
「先輩、僕用事あるので行きますね。頑張って下さい。」
背を向け、後輩くんは立ち去った。
「えっもしかして…」
再び一人になった少女は、しばらくフリーズしていた。
「もしかして…馬鹿にされた?」
残念ながら、まだまだこの先輩には恋の小説は書けないようだ。
読んで頂きありがとうございました!