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1部で始まる僕
「人生は後悔の連続。あの時こうしていれば、あの時こうだったら。そんなのは考えたらキリがない。今をそう思わないように今を頑張るんだ」
何処の誰か分からない声が垂れ流しのラジオから聞こえてきた。
その今をも頑張れない僕は友人達が就職してから一年弱、鈍臭い奴でも仕事にも慣れてきたいう頃の平日の昼間、ベッドに横になって天井の模様を見ていた。
上京したての頃の天井はとても白く、ここから頑張ろうと奮起していた18の頃、東京の建物は高いなぁとは思わなかったけど、方角の目印に出来る山や遊べる川、綺麗な浜辺がなく、東京の能面霊長類の波に吐き気を催したのを覚えている。首都が東京になるようにした徳川幕府を恨むのは御門違いか、目安箱があれば今度投函しに行こう。
それからタバコを覚え、1日一箱ラッキーストライクを吸っていると天井はいつのまにか黄ばんでいた。
「俺は1年後どうなっているのだろう。いや、1年後よりもっと後5年後、10年後は……」
そう呟いた時、そいつは現れた。