第二夜「焔」(Bパート)④
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丈の短い患者衣の裾が翻るその度に、露わになった白いふとももが躍った。
炎を撒き、熱風を散らし、鬣をなびかせて、祇代マサト専用コサージュ・チ號参拾ことちさとは疾走する。
振り下ろされる爪は、武王で叩き返した。
上下から迫る大顎は、鎧王で防いだ。
そして吹き付けられる火焔は、掌で受け止めた、
己の体に数倍する体躯差をものともせずに真っ向から互角に打ち合う強力と堅牢な四肢。
襲い掛かる爪牙を流水のように受け流す技巧としなやかさ。
常人であれば視認することも困難であろう、ミリ秒以下の三次元的な動きに振り切られず追いすがって跳躍し、後の先を取ることすらを可能とする、超高速の機動力と飛翔力。
微細な重心移動や予備動作を見逃さず、次にくるであろう攻撃を瞬時に見極め対応する鋭敏な五感。
そして、二手三手と先を読み、それらを適切に運用する、知性と戦術。
祇代マサトによって名を呼ばれ「戦闘モード」を起動したちさとは、確かに、四つに組んでの真っ向勝負を避けながらの戦いに徹していた初戦。「民生モード」での戦いの際とは別次元の戦闘能力を発揮していた。
けれど――けれど、いま、彼女のその口から放たれる言葉は、必殺の咆哮ではない。
「ねえ、どうしてッ?」
――そう、問いかける。
「……あなたはどうして、何の為にマサトくんを襲うのッ!」
何故と、尋ねる。
「やめようよッ! こんなこと、することないじゃない!」
元は――ウィッチ、なのかもしれない。
「お願い、誰かに操られているなら、目を覚まして!」
けれど、自分と同じように、ヒトの手によって、ヒトの幸せな営みを守るために、と生み出されたものであるのならば、もしかしたら。――もしかしたら、と。
「あなたの事、わたしに教えてッ!」
造花の少女は一縷の望みをそれでも絶ち切れず、懸命に、澄んだ声でそう伝え続ける。
祇代マサトは、己の行為の罪深さを、今更ながら受け止めずにはいられなかった。
〇
――祇代マサトが決断を下し、その欲望を受け止めたチ號参拾コサージュ=ちさとが「カグツチ」と激突を開始したその瞬間、教皇院砲戦参謀・戦部ユウスケは己の愛用の得物と戦具足を担ぎ、行動を開始していた。
六道が一、修羅道の魔法の使い手たる彼の表道具は、魔法で強化した数多の重火器と、大質量の装甲。
無論、重量は嵩むが、魔法で強化した脚部装甲からの圧力で自身を浮かせ、背部からの噴射で強引に加速することで、ウィッチを圧倒する火力と機動性を両立することで、として、これまで彼は「近代兵器を用いる魔法つかい」という稀有な存在として、戦部の名を不動のものにするだけの功を上げて来ていた。
戦部ユウスケが祇代マサトに対し鷹揚で誠実な態度を崩さなかったのは、実際のところ100%の善意からという訳ではなかった。
……今の時点では。
これはどうにも、気の毒なお人だ。――と思いこそすれど、祇代マサト個人に対し、そこまでの思い入れはない。
……今の時点では。
彼に対して、戦うのを高圧的に強いるようなことをしなかったのも、
「そんな切羽詰まった状態で、やりたくないと心の底で思っている、事前の気構えも特にないと言う者に無理強いをしても、どうせろくなことになりはしない」ということが、理屈からも、自分の経験上からも、骨身に染みて判っているからである。
人生の重大な局面において、本意にそぐわぬことを、他人によって強制されたと言う意識は、心の奥底に沈殿し、澱となって蓄積する。
例えここを何とか乗り切ったとしても、それはいじけた悪感情と精神の瑕疵となって決していい結果を産まないし、……何より自分もそうだったからだ。
二十にも満たない青年に、そんなものを抱え込ませるのは気が引けた。
……さりとて「自分で決めた」からこそ、逃げ道をふさいで重荷となり、先々禍根を産む。ということもあるのだとわかってはいるのだが、そこまで言及すれば、何が悪いのかと言えば、祇代マサトが、特殊な、ある意味やんごとない生まれつきなどをしたからであって、彼の罪ではあるまい。
まして、突然命を脅かされるという異常な環境下で未成年が下した「自由意思による自己決定」なんぞ、法律上もまったく無効だろう。
やつれ、疲弊し、青白く擦り切れたようなその痛々しい姿をはじめて目にした時は、氏素性や生まれというものがこれほどまでにひとりの人間を打ちのめし、痛めつけ、自尊心を奪うものなのかと、今更ながらに背筋が凍った。
そして一目見ただけで、この人がもう、そう長くは生きられないだろうというのが伺えた。
名前も知らない遠い先祖のおかげで、20も過ぎてから魔法つかいなんてものになって、それも教皇直々に氏姓を賜り、落ちぶれた名家の跡取りにされるほど荒事をこなすと、嫌でもそういうものが見えてくるようになる。
不運にして、偶さか〝アレ〟の息子なんかに、ましてあんな体に生まれついてしまったら、誰でもこうなってしまうものではなかろうか。と思いもした。
だから、彼がここから逃げたい、と言うのならば、抜け出すのを手伝ってやるということだって、まあ吝かではないと思った。
こんなところにいたら、このひとはさぞや苦しみ抜いた末に、悔恨と絶望に苛まれ尽くして、惨たらしい最期を迎えるのだろう、とも思った。
……それは流石に、後味が悪い。
もちろん、多少後の言い繕いは面倒な事になるだろうが……。
アレも、自分の息子は流石に可愛いだろうし、ここにいるのがいかに自分の息子にとって良いことではないか判らぬような愚物でもないだろう。
死ぬのなんて、只々悲しくて、苦しくて、恐ろしいだけで、良い事は何もないのだ。
ここで死ぬようなら死なせてやった方が親切、――なんてことも、広い世の中探せばあるかもしれないが、そうそうその辺に転がっているとも思えない。
何だったら、チ號参拾――ちさとだって、その為に彼につけてやったって構わない。
あのお手伝い用コサージュは、きっと喜んで最後の時間を彼にとって穏やかで安らかなものにする助けとなるだろうし、祇代マサトは教皇院のお偉方よりはよほど彼女にとって「お手伝い」のし甲斐のある相手となるだろう。
逃げるのなら逃げる。そう決めるのは早くするべきだ。
「男らしく」「逃げずに」「立ち向かおう」としたところで祇代マサトにはその手段がないし、その結果として彼の身を獣の牙が噛み裂き炎で焼いたとしても。
――誰もそれに責任を負ってはくれないのだから。
これも嫌だあれも嫌だと駄々をこねるのも、それはそれで立派な態度だ。と言ったのも、けして皮肉ではなく、そう思っている。
それはあの若者がここに「戦士になりたい」と志して来たとでも言うのなら甘ったれるなと横面張り飛ばしてやったって別に構わないのだが、そういうわけではない。
今日ここに連れてこられ、初めてウィッチなる化け物と相対し、魔法つかいだのコサージュだのなる人外を目の当たりにしたばかりの体の弱い若者が――
或いは、折れぬ覚悟と砕けぬ信念を持って、自ら戦いに臨むとか。
或いは、倫理と善性とを重んじ、女児を戦わせることを忌避するが故に自己を犠牲にするとか。
或いは、冷徹に現実と合理に即し、何を切り捨ててでも生き残るとか。
そう、言えてしまえたなら。決断できてしまったなら。
それらは何れも、狂気の沙汰だ。
……そんなことはできる訳がないし、させるべきではないのだ。
例え思考を停止させ、怯え竦むしかなかったとしても誰にも彼を嘲笑う権利などないし、いやだいやだ誰かたすけて、と叫べたなら、それですら御の字、立派な見識というものだろう。
泣いて助けを求める無力な市井の未成年を助けると言うなら、それこそ自分たち教皇院の魔法つかいの稼業である。
ほんとうに、戦部ユウスケという男の芯から出てきた言葉と言えるのは、
「悔いを残すな」
「あんたがどんな決定を下しても、自分だけは決してあんたを非難しない、責めもしない」
という二つくらいだ。
だからと言って、何の気休めになるわけでもなかろうが――
彼が今日を生き延びたとしても、祇代マサトには、もうさほど永い時は残されていないかもしれない。
彼の体を冒す病魔は、祇代マサトに自分の人生というものを諦めさせるに足るものなのかもしれない。
彼に纏わりつく絶望と諦念は、祇代マサトの足首を暗がりから掴んで離さないものかもしれない。
それでも、祇代マサトが今日生き残ること、今日悔いを残さないことは、きっとそれに勝る価値を持つはず。
――と、信じる。
そんな想いで、戦部ユウスケは、マサトの決断を待っていた。
――結果として、祇代マサトは意外な選択をした。
怯え縮こまり、座して死を待つことをしなかった。
思考を放棄して、無策のまま「男らしく闘う」と言うことを選ばなかった。
ちさとを冷徹に捨て駒にして、逃げることをしなかった。
このひとはやりかねないと危惧していた。自分で囮になってちさとを救おうとするということすら、選ばなかった。
――ちさとの隣にわざわざ並び立ち、あくまで己の責任のもと、己の言葉で、戦えと指示を出した。
自ら業を背負ったその上で「生き残るぞ」と吠えて見せた。
いやはや、まったくする必要もない蛮勇、狂気の所業だ。
けれど、戦部ユウスケはそれを――ああ、こいつはいい。なかなか言うじゃないか祇代マサト。と思った。
こいつはひとつ、このひとを救い上げ、明日と言う日を迎えさせてやらねばなるまい。とも思った。
故に、そう腹を据えて、走る。
「カグツチ」が六道の魔法つかいに匹敵する以上、頭数ばかりではどうにもならないし、何より場所が場所だ。
自分とちさとと、祇代マサト以外は、この際必要ない。
……そして。
あの、実際にか弱いと言うならこれほどか弱いことも類を見なそうな青年が、自分たちが命を賭して護ってやらねばならない爪も牙も持たぬ無力な人々のひとり。なるものであるとしたら。
では、一応教皇院の一員たるアレは、一体何なのであろうか。
数十秒前目にした光景を、思い返す。
「い、戦部、貴様ぁ……!」
「……ですから、たまたま手が当たってしまったのだと申したでしょうに。他意はありません」
……つい年甲斐もなくエキサイトしてしまい、固めた握り拳が、たまたまイワクラ氏の顔面、鼻っ柱を直撃してしまいはしたが、それはあくまで不慮の事故。
「謝れと言うなら謝らん事もありませんが、予期せぬ弾が飛んでくることもあるくらいはご存知でしょう?」
「ぐ、ぐむぅっ!」
憮然とした表情と冷めきった視線で、戦部ユウスケは這いつくばったイワクラ卿を見下ろしていた。
――本来の、ヒトとしての程度に相応しからぬ職に、政治工作と銭金だけで居座り続けている小物の悪党の分際で!
この人自身だったか、この人の先祖だったか、は教科書にも載っている人物だそうなのに、それが100年やそこらで、ここまで腐るのか!
「……あんまり、ぎゃあぎゃあ喚かないで頂きたい」
――また手が滑るかもしれないじゃないですか。
というのは口の中に納めたが、そう言いたい気分だった。
「コサージュってのはかわいそうなもんです。さてさて、人の命は尊い、粗末に扱ってはいけない。ということになればなるほど……どっかで、粗末に扱ってもいいという命が必要とされる、こいつはどういう唐繰ですかなあ」
戦部ユウスケは、けして組織運営、ことに物資の管理、情報管制、それに金銭管理といった後方職を蔑む価値観を持ち合わせているわけではない。
その辺を蔑にする組織が如何に悲惨な最期を迎えるかも承知している。
それに、教皇院、ことに外部出身者、それも自分のごとき、元デストロンを引き立ててくれた嵯峨かのんへの感謝は忘れていない。
単に、――眼前のイワクラ氏が、戦部の名跡を継いだばかりの、外部出身の若造であったころの彼とその同輩に対して、
「わしに逆らったら承知せんぞ」
という意趣を示す為だけに、必須だったはずの補給を「故意に」滞らせ、そのとばっちりを受けて、泥水啜りながらウィッチから逃げ回る羽目になった。という――その折りの一件を綺麗に水に流せるほどには、まだ人間が出来てはいなかった。というだけの話である。
自分や犬飼はまだしも、風見に至っては、彼の顔を見ただけでも即座に首を刈り飛ばしにかかりそうになるほど強烈な悪感情を抱いている。
両者がなるべく対面せず、事なきを得るよう結構苦労しているのだから、口のきき方には気を付けてもらいたいくらいだ。
……整備の連中に悪いなあと思いながら、二度引き金を引いた。
右手の小銃から放たれた銃弾が、かたく閉ざされた隔壁を薙ぎ払い、進路をクリアにする。
「戦部! 戦部! そんなものをここで使う奴があるか! それにせっかくの隔壁に穴を開けるとは、何を考えとる!」
通信端末からイワクラ卿の甲高い声が引っ切り無しに飛び込んでくる、
「どの道隔壁じゃ長くは抑えられませんよ。それに外に出すわけにもいきません、そろそろ肚くらい据えてください。今日ここに来たばかりの若いひとすら頑張ってるんだから。――あそこで勝負するしかありません」
と言えば、
「ふ……フン、あのひととて何を偉そうに言うかと思えば! 結局はコサージュを盾にするしかないのではないか!」
という声が帰ってくる。
……これだから素人は嫌なんだ。
あの凄味が判らず、単に子供を盾にしていることと区別がつかんとは。
「おっ? あの方の御身内への批判ですか? 通信切れた途端になかなか仰るじゃありませんか」
と言ってやった。
途端に、端末の向こう側の声が鎮まった。
「……まあ、そいつが負け惜しみのつもりだっていうんなら、少しは俺も貴方を見直しますよ。負けてる自覚があるんですからね」
至極どうでもよさそうにそう返し、視覚に直結させた端末の一部からの映像に意識を向ける。
祇代マサト側の端末から伝わってくる情報は、一旦すべて自分を経由してから伝えることにしていた。
大きな理由はいうまでもなくこれ以上祇代マサトの、教皇院に対する心証を悪化させたくなかったことだが、この人たちに、ちさとの戦う姿を見せることに抵抗があったことだった。
知る範囲でのちさとの戦いぶりは、まあ通常の戦闘型コサージュのそれを大きく逸脱するようなものではなかったが……
彼女に起こったこと、そして祇代マサトの口ぶりがどうも気にかかる。
もしも、ちさとが通常のコサージュとしての範囲を外れる様な「何か」を持っていた場合。
「特殊な何か」を持っているコサージュを、あのお偉方たちがどう扱うか、自分自身も信頼できなかった、というのがもうひとつだった。
――もしも、分解して構造を確認しろなんて言い出されたら祇代マサトが怒り狂うだろう。
これ以上内にも外にも敵を抱えて、一体どうするつもりだ。
敵の敵は敵だろうが。
さて、その見知っている限り、チ號参拾というのは、現在の管理権限者である祇代マサトに劣らず、相当の曲者だ。
多少風変わりなトコロはあるが、真面目で気が利いて、よく働く――程度に思っていたが、あの気質は言ってみれば「女の中の女」とでもいうやつだ。
もしも彼女が、戦ってでも守るべきと見定めた者を己の心の内に得たのなら、逃げない折れない諦めない、のみならず。
「相討ち覚悟の突撃」なんて安い真似をするでなく、
「命と引き換えの切り札」なんて小賢しいものを持ち出すでなく。
「殺されるまで戦うのを止めない」奴がいるとしたら、きっとああいう奴だ。
そして、結論から言うと、……ちさとは、予想よりも遥かに善戦していた。
もう動かないチ號参拾を前に泣き崩れる祇代マサトをどう慰めたものか、と思うと頭が痛かった、が、案外、どうにかなるものなのかも知れない。
「戦部! おい戦部! 向うはどうなってる!こっちからはまるで判らんぞ!」
「ン……チ號参拾、イヤ、ちさと、でしたか」
――ああ、あいつ、変わったこと始めたな。
「「カグツチ」と、「意思の疎通」を図ってます」
「ま、まさかやつめ、寝返る気ではあるまいな?」
「……だから、どうしてそう話を下衆な方向に持っていくんですか」
何を見ても聞いても下衆な事しか思いつかないと言うのも、ここまでくるともはや才能だ。
斯く在りたいとは微塵も思わないが。
「……話し合いで解決、か。おう、案外名案にして上策かもしれません、いや、こいつは俺も流石に思いつきませなんだ」
「カグツチ」の制御権を取り戻す。
ソレが出来れば確かにベストであろう。
あの戦闘能力のまま、こちらでコントロール可能な状態になるのであれば、それに越したことはないのだ。
高位の魔法つかいを主軸に、「カグツチ」を前衛に据え、その周りにチ號型のような戦闘コサージュを数基配置すれば、それこそ難攻不落の布陣となろう。
だがそれらも全て、こんなことが起こらなかったら、の話である。
現にこうして一度制御を外れる事故が起こった以上、無視はできない。
それが100万体に1体のエラー品であったとしても、制御を外れて暴れ出す可能性がある個体が発生した場合、その際のリスクが大きすぎる。
一から設計をすべて見直し、長期的に計画を見直させなければならない。
実戦に投入可能なウィッチ兵器の研究開発はこの一件で、実用まで確実に百年は遅れるだろう。
自分が手掛けた焦熱装置の方はどうにか実用化までこぎ着けたが、如何せんアレは、「ウィッチ退治「にも」使える」と言うだけの代物だ。
――作りたかった物じゃない。俺が作りたかったのは、もっと……
「そ、それは……本当にできるのか? ウィッチ兵器をコサージュが制御するなど……」
「……アー……まあ、難しいのではないのでしょうか?」
「カグツチ」はあくまでウィッチが素体。
人間(魔法つかい)が己の利益の為に作り出したと言う点は等しくても、コサージュとは根本的に異なる。
「そ、そうや! できる訳がない! 現実はあま」
「……現実は、反吐のようなものですからなぁ」
イワクラ卿の能書きを遮って、そう吐き捨てた。
……「現実は甘くない」だなんて、覚悟が足りない、嫌悪が足りない、絶望がまるで足りない、そんな台詞をよくも吐くじゃないか。
そんなものは、「甘くない」現状を「甘くないまま」の方が都合が良くて、一ミリも動かしたくない側が使う。……卑怯者の台詞だ。
すくなくとも、今から向かう場所にいるあの人は、決してそんな言い方はしないであろう。
――さて、生きててくださいね、祇代マサト。
そう思いながら、背部の噴射機関の出力を高め、速度を上げる。
……待てよ。
〝カグツチ〟と互角以上に戦いうる、ということは。
――コサージュが、六道に至った魔法つかいとも互角に戦いうる。ということだ。
それが、どういうコトなのか。
そいつだけは、まだ判断がつかなかった。




