エピローグ
外部スピーカーから市内全域に非難の指示が出された日。
市内が一望できる高層ビルの屋上に、髪の長い女が立っていた。20代の若い女は全身闇に溶け込むかのような黒いスーツを着ている。そして長いストレートヘアの女はビルの屋上から、双眼鏡でどこかを見ていた。強い風に髪がはためく。
「私たちが直接会うのはルール違反では?」
女が双眼鏡を覗いたまま、背後に立つ男に言った。何時の間にか現れたその男も全身黒ずくめの服を着ていた。そして長髪をオールバックに撫でつけている。
「偶然だよ。気になった奴がいたから、ここから見ようと思ってな」そう言って、歩いて女の隣に並ぶと、静かに尋ねた「それで……ターゲットの一人は覚醒したのか?」
女は覗いていた双眼鏡から眼を離すと、男に射抜くような鋭い視線を向ける。かなりの美人だが、その顔は鉄の様に冷たく無表情だった。
「あなたの鷹の目で確認すればいいのでは? 私は一度に二つの事は出来ません」
しばし二人は睨みあう様に対峙した。
女は小声で、ですが……、と言ってから続けた。
「恐らく、暴龍覚醒……暴龍の心臓は目覚めているかと……。移動しているのを偶然見ましたので」
「そうか……ならいいが」サングラス越しに疑うような視線を向けて男は言った。そして、睨みつける様に目を細め「変な気は起こすなよ」
威圧的に言葉を放つ。しかし男の言葉を無視し、
「では、観察を続けますので」
追い払うように女は言った。そして持っていた双眼鏡を再び覗き、何かを見るように下に向けた。
隣に居た男は何時の間にか消えていた。
ここまで読んでくれた方、お疲れさまでした。
なんかありがちな余韻を最後に付け足してしまいましたが、正直これ以降の事はほとんど決まっていません。ヒカルの今後を書くとしても結構先になってしまうかも……。書かない可能性も……。いい加減で申し訳ありません。思いつきから走り出したので、ゴールが……。
とにもかくにも読んでくれた方に感謝を。
本当にありがとうございました。




