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豹変  ――悪いほうへ――

 到着したその夜。


 ナオミの無事を確認した僕は、ここまでの道中の疲れも手伝って、誘われる様に眠りについた。


 しかしこういう生活になってから、僕は引きこもっていた時より神経が過敏になっていた。最近はとくにそれが顕著だ。世界が平和のままなら、そろそろ僕は精神科にでも通ったほうが良いかもしれない。

 家の中ではほぼずっと無音だったが、風の音でも目が覚めてしまう程に、僕は知らずに緊張感を持ち続けているようだ。もはやそれが、本当に鳴った音なのかも、わからない時がある。人も動物も周りから消えた家では、幻聴か、本当か、確認する事も出来なかった。


 遠くで何かが落ちるような、かすかな物音が聞こえた気がして目が覚めた。


 思った以上に僕の体は疲れていたらしく、教室に着いてから皆で話し合っている途中に、何時の間にか眠ってしまったらしい。四時間くらいは寝たのだろうか、もう深夜になっていた。


 あたりを見回すと、僕のすぐ隣によりそうようにナオミが寝息をたてていた。僕は一瞬ドキッとするが、起こさないように静かに立ち上がり、廊下へのドアに近づいていく。


 ドアを静かに開け廊下に首だけ出して確認すると、三つ先の教室から明かりが漏れているのが目に入った。

 廊下から出て夜中の不気味に静まり返った教室を忍び足であるく。ボンヤリとした光の漏れる教室から、影が揺れて動いているのが見える。


 教室側の壁にはりつき、明かりのついた教室をのぞく。

(う……。)


そこには――――――――。


 何も身につけていない、素っ裸の西條清美が机に手を尽き、その後ろからズボンを下した佐々木が荒々しく腰を打ちつけていた。

 佐々木は命令するような声で

「もっと締めろ」

 そういって佐々木が西條さんのお尻をパァンと音が響く強さで叩く。激しく臀部を叩かれた西條さんは、

「ぁっハッイッ! ぅっウっ!」

 僕はマズイ所を目撃してしまったと思ったが、その直後の佐々木の言葉に一瞬凍りつく。

「チッ! まさか影山がくるなんてな……ヒッキーがナニしにきてんだよ。うぜぇ」

「あ、あっ、う、あっん、いっ」

 佐々木が腰を打ちつけるたびに、西條さんが色っぽい吐息を洩らす。

 「全員死んで、もうちょっとで田中も落とせそうだったのによぉ。あの女……、絶対処女だぜ、影山には譲りたくねぇな~」

 初対面の時とは全然雰囲気が違う。言葉にも怒りがこもっているようだった。

「くそが、どうしようかな~死んでくれねぇかな? なあ清美」

 佐々木は西條さんの尻を爪が食い込むほど鷲掴みにして、怒りをぶつけるように腰を叩きつける。そのたびに西條さんの胸が激しく揺れ暴れ回る。

「うっ、いいっ、うっうっ、あっ」

「出すぞ」

 西條さんのの尻を叩いて暗く静かにいうと、

「っ! うっうっん、いっいよ」

 佐々木は止めを刺す、とばかりに腰を激しく叩きこんだ。西條さんの奥深くまで届く様に叩きつけると、西條さんは机に縋りつくように脱力する。


思わず見入ってしまった……マズイ戻らないと。


僕は静かに教室に戻った。


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