絶たれた絆
避難放送の数日後。
人の気配も無くなり車も走ってない。世界がすごく静かになった。普段からあまり外に出ない僕は慣れていたし、暇つぶしもあるけど、テレビも映らないので伯父さんは退屈そうだった。
まだネットは繋がったので、今日もスレイヤーをプレイしていた。
僕は現状をぽつりと呟く。
「なんかうちの周りみんな避難してて、すごい静か」
「そうなんだ、こっちもそろそろかもな……。最近結構サイレンうるさいわ」
「トーヤって都心の方?」
「かな? まぁ一応避難の準備はしてあるけど」
「心なしかログイン人数も少ない気がするよね」
「だな、レアポップのモンスターも放置されてるし、取りあえず倒しとくか」
「うん」
モンスターに止めをさし戦利品を確認していると、
「ヒカルとももうけっこう長い付き合いだよな。――この騒がしい事態が終わったら、一度リアルで会いてぇな」
なんてな、と付け加えトーヤが言った。
隔離されたような状況で僕も正直寂しさを覚えていた。普段なら言わない事を言う。
「そうだね。この騒動が終わったら――」
それから二時間ほど二人で各地の狩り場を回った。普段はお目にかかれないようなレアモンスターを狩り倒して遊んだあと、
「ちょっと外の様子みてくるわ、んじゃ乙!」
と言ってトーヤはログアウトしていった。
この次の日からネットが繋がらなくなった。




