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プロローグ

初めて書きました。勢いに任せて。

 目的地である学校が見えた。

 校門に面した公園の茂みから校舎の様子を窺う。夕暮れ時、三階建ての校舎は不気味に静まり返っていた。見渡せる範囲だけでも、校門の先に続くアスファルトに制服姿の三人分の遺体が横たわっている。二人は男子生徒、もう一人は女子生徒だった。いずれの遺体も酷く損傷しているようだが、もう少し近づかないとわからない。


かなりの人数が学校(ここ)に避難していると思っていたが、校内には人の気配すら感じられない。聞こえるのは生温かいような風の音だった。静かに鎮座する建物に、全てに拒絶されたようで僕は自分に問う。

「来るべきじゃ無かったのか?」

 あたりにゾンビは見当たらなかったが、期待していた光景も見当たらなかった。

 和気あいあいと迎えてもらえるとは思っていなかったが、ここからさらにどこかに避難したのだろうか……。


 夕暮れの空が僕を押し潰すようにどんよりとしてきた気がする。不安が心を浸食していく。

「やっぱりもう死ぬしかないのか?」

 世界から取り残された気分に肩を落とし、諦めたその時、二階校舎の窓に人影が見えた気がした。一瞬だったが、確かに何かが動いた。

「まだ誰か居るかもしれない」

 真っ暗な闇にさした小さな光かもしれない、でもいい。それでもいい、万に一つでも可能性(きぼう)があるなら、行こう。絶望に沈みそうな自分に言い聞かせる。


 僕は校舎内を確認する覚悟を決め、手持ちの武器を確認する。矢は残り二本。これを撃ち切ったら終わりだ……。後はもう接近戦をやるしかない。

 もし人間が誰も残って無くて、ゾンビだけがいたならば、中に入れば恐らく死ぬだろう。でももう構わない。たとえ死んでも、ここまで来られた自分を褒めてやりたい。僕なんかがここまで来られただけで上出来なんだ。もう十分戦った。恐れるものは何もない。

 落ち着こうと息を吸い、気合いを入れるように息を吐く。


「行こう」


 僕はわずかに残った希望を胸に歩き出す。


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