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01:ステップ

ちょっとポップでラフな感じの小説です。7年ぶりですが前作の続きです。

ラフに読んで頂ければ嬉しいです。

「園部さん、あーん」


「あーん」


「美味しいですか?」


「うん、めっちゃ美味い!」


「やったー良かったー」


ここはユリちゃんの家。


一人暮らしのユリちゃんの家はむっちゃ可愛くて、何となくピンク色が多いカンジがする。そんなところに今日お邪魔している俺と、アカネ。まあアカネはほぼ金魚のふん状態なのだが、ユリちゃん家に行くんだって言ったら「なに、俺も付いてく!」とか言って勝手についてきた。一体何なんだ?


ユリちゃんお手製のケーキは、めちゃくちゃ美味しい。


何でも、ユリちゃんはたまにこうしてケーキを焼くんだけど、彼氏とは遠距離恋愛をしてるから食べてもらう人がいないんだって。


だったら俺が食べたいって立候補したら、ユリちゃんは特大のケーキを作ってくれたのだった。


まあそんなわけで、最近の俺はもっぱらユリちゃんと仲が良い。何しろアカネが好きだっていう恋愛相談してた頃からの仲だしな。


もうあれから3ヶ月経った。

俺とアカネは一応上手くやってる。…と思う。


「おいおい、ユリちゃん。俺にもやらせてくれよ、あーんってやつ」


「え…。つーかアカネ、普通は”俺にもやって”だろ…」


「俺はお前にやりたいの!だってお前、俺がやってもあーんって口開けてくれないじゃん、最近」


「ばっ!な、なんてこと言ってんだよバカ!」


俺とアカネの漫才みたいな会話に、ユリちゃんはあははと笑ってる。いや、ユリちゃん、ほんとこれね、笑い話じゃないんだから。


「あ、やべ。もう時間だわ。すごく残念だけど、俺これからスタジオだからさ。またな、ユリちゃん、ジュン」


「行ってらっしゃい」


「うん、またな」


元々スタジオでの予定が入ってたっていうアカネはそこで退散してしまった。


まあ良いか。これでユリちゃんと腹を割った話が出来るってもんだ。まあその話ってのは要するに…アカネのことなんだけど。そう…実は俺は、未だにユリちゃんに恋愛相談をしてるんだ。だって恋愛って分からないことが多すぎる。多すぎるんだ!


というわけで、先輩にいろいろ伝授してもらってるわけなんだけど、それがいろいろ高度すぎて俺にはできそうもないと思っているわけで…。


まあ一番の関門は…やっぱり…アレだ。


「それで、まだなんですか?」


「え!あ…うん…まあ…まだ、かな…」


「おかしいですね。だって園部さんの口ぶりだとアカネさんって結構…」


「まあ下ネタとかはかなり振ってくるんだけど…」


ユリちゃんによれば、次なる関門は…要するに大人のアレだ。つまり…エッチなことだ!そのエッチなことに関しては、俺は何と言うか、もうどうしていいかさっぱり分からなかった。


だって…。


「ゆ、ユリちゃん!正直に教えて欲しいんだけどさ、や、やっぱり…23でしょ、しょ、処女って…!ど、どうなのかな!?」


俺は滝のような汗をかきながら、もうユリちゃんの顔も見れないまま、とにかくそこを聞いてみた。実のところ、俺はそこが気になってたんだ。俺はアカネが初恋だし、だから今まで男とそういうことになったことなんて勿論無い。何しろ俺は男だと思われて生きてきたんだから。


俺はいろいろ考えた。悩んだ。


俺が処女なんていったらアカネはヒくのかなーとか…それで嫌われたりしたらどうしよう…とか。というか、男ってそういうの気にするのかな…?あー駄目だ、さっぱり分からん!


「園部さんったら気にしすぎですよー。私の知り合いにだってたくさんいますもん。三十路以上で処女って人もいますよ?大丈夫ですよ、気にしなくても」


「そ、そうかな!?」


「そうですよー。多分アカネさんだって気にしないだろうし。だってアカネさん、園部さんのことものすごく好きじゃないですか。逆に嬉しいんじゃないですか?」


「う、嬉しい…!?」


「なんていうか、”俺はこいつにとって初めての男だぞ”みたいな?」


「は、初めての…!」


仰るとおりです…!!!


確かに初めての男だけどそう言われると何だかものすごく恥ずかしいのは何でだろう…!?うわー…だけどそうか…そういうことになるんだ。アカネが俺の初めての…。


俺は、考えただけでも卒倒しそうになった。妙な想像をしてしまって変な汗が噴き出してくる。


「だ、駄目だ…ユリちゃん、俺、死ぬかもしれない…」


「園部さん頑張って下さい。あ、良かったらちょっとエッチな本貸しましょうか?」


「え!?ちょ、ちょっとエッチな本!?女の子にもそんなのあるもん!?」


「ありますよー。まあ私が持ってるのは雑誌の特集ってだけなんですけどね。セックスでキレイになる、とか特集が良くやってるんですよ。良かったら見て下さい」


「あ、ああ…」


俺は恐る恐るその雑誌を手に取った。なんということか、表紙でデカデカとそれらしき文字がかかれている。因みに表紙を飾っているのは、人気アイドルの青年だ。しかも脱いでる。うわ…なんていうか生々しすぎる…。


でも…エッチなことしてきれいになんてなるんだろうか?


俺でもやっぱりきれいになったり…するんだろうか…。いやいやいや!そんなの絶対にない!ないない!


「あ、そうだ!イイコト思いついた!」


「な、何!?」


「今度下着買いに行きましょうよ!確か前に言ってましたよね、スポーツブラしか持ってないって」


「ま、まあ」


ユリちゃんは、可愛いブラジャーでも買いに行きましょうって言う。やっぱりそういうのって必要なのかな…。俺はドキドキしつつも、とりあえず買うだけなら良いかななんて思って、買い物にいく約束をした。


 


 


 


ユリちゃんとの買い物の日、アカネはやっぱりついていく、とか何とか言い出したけど、さすがにその日は俺も断固拒否した。絶対に知られたくない!絶対にヤダ!


ユリちゃんが連れていってくれたのは、デパートのなかの有名下着メーカーの店で、キレイなやつから可愛いやつまでたくさんのブラジャーやパンツがあった。どれどれ、と見てみると…うわ、すごい高い!こんな高いのもあんのか…すごいな…。


「じゃあサイズをお計りしますね。じゃあこちらで上半身脱いで頂けますか?」


「は!?」


「服の上からだと正確なサイズがお計りできないので」


ええ!?脱ぐのかよ!?


俺は追い詰められて、胸なんかありゃしないのに、もう恥ずかしくて仕方なかったけど上半身を脱いだ。そこに、店員さんがメジャーをひゅるっとまきつけてくる。どこを図ったって俺なんか同じだろうに…。


「AA75ですね」


「AA…っていうのはつまり…」


ユリちゃんに教えてもらったことによると、胸の一番高いところと胸の膨らみの下んところのサイズの差がAだとかBだとかっていうらしい。俺はそんなことすら知らなかった…。


残念ながら俺は本当に胸が無くて、AAサイズってのはお店にも置いてなかった。取り寄せますかって言われたけど、さすがにやめといた。


「そういう場合ですと、カップサイズを1つ上げてアンダーを1つ下にして頂くと近くなりますけれど」


「え…じゃあ」


「お客様の場合ですと、A70になります。こちらにサイズを揃えてございます。種類もいろいろございまして…」


「あ、ほんとだ…」


店員さんの勧めるままに、俺はそのサイズのブラを買うことにした。でもデザイン的にどういうのが良いのか良く分からなくて、ユリちゃんに聞いてみたら、園部さんだったらちょっとお姉さんっぽいのにしたら良いと思います、ってことだったから、それっぽいのを買ってみた。薄い紫色のやつだ。


にしても…花柄って…俺に似合わなすぎ…。自分で想像してちょっと気持ち悪くなってしまった…。


その間、ユリちゃんもサイズを測ってもらってたけど、聞いたらD65なんだそうだ。うわーなんていうグラマラスな!俺はちょっとユリちゃんが羨ましくなってしまった。


「アカネさん、喜んでくれると良いですね」


「ばっ!あ、アカネのことなんて思い出させるなって!」


「えーだってアカネさんにしか見せないじゃないですか、そのブラ」


「うっ…そ、それは…」


確かに、他の男に見せる予定はないけどさ…。


でもなんか、ものすごく恥ずかしいんですけど…。


あー駄目だ…。


アカネがいるわけでもないのに、俺は妙にドキドキしてて、いつの間にか手に汗が滲んでた。


 


 



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