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うさ耳改造計画まる

作者: 夜明けまじか

「ねえジョウくん」

「ん? 何だ?」

「昨日の事件、怖かったねぇ」

「そうだな、突如として竜巻が発生し、周辺の住宅を薙ぎ払っていった。恐ろしい話だ」

「原因は今も不明なんだよねぇ」

「早急な解明を求めたいものだな」

「(もじもじ)それで、今日は、どうするのぉ?」

「もちろんするさ。ほれ、こっちにこい」

「やん♪ 強引なんだからぁ(はあと)」


 そしてジョウは、うさ耳をもじった。


「ひゃんっ。もおぉ、初めてなんだからねぇ? 責任取ってよ?」

「気にするな。俺の記憶が正しければ、今回で千百六十七回目だ」

「今回は、何を造るのぉ?」

「扇風機だ」

「地球に優しいねぇ」

「時代はエコを求めているからな」

「昨日はちょっと激しいの造っちゃったからねぇ」

「箱いらずの空中洗濯機を造ろうとしたのだが、旋風の制御が上手くいかずに洗濯物が空高く舞い上がっていってしまったな。今後は少し自重しよう」

「旋風も何処かへ行っちゃったしねぇ」

「今頃大西洋辺りを元気に回転しているのだろうか」

「それに比べるとこれならご家庭にも置きやすいねぇ」

「完成だ」

「相変わらず早いねぇ。三十秒も掛かってないよぉ?」

「素材が最高だからな」

「(てれてれ)」

「さっそく試運転といこう。昨日の竜巻のおかげか、今日は稀にみる快晴だからな」

「良い結果が出そうだねぇ」


 ――数分後。


「おっと、出力が強すぎて周囲の瓦礫が吹き飛んでいったな。思った効果とは違うが、掃除の必要がなくなって結果オーライだな」

「あのままじゃあ、車も出せなかったもんねぇ」

「それにしても、やはり以前造った透明シェルターは正解だったな。おかげで家が傷一つ付かずに改造が続けられる」

「あははは、最初の頃は何回も崩落させちゃって大変だったもんねぇ」

「おかげで学んだな。実験は外でやるものだと!」

「そういえばあの直後、ご近所の皆さんが一斉に引っ越しちゃったんだよねぇ。あの時は寂しかったなぁ」

「俺も覚えているぞ。まったく水臭いものだ。せめて事前に知っていれば、別れの品に改造品の一つでも贈ったものを」

「物置に昔造ったのが、たくさん置いてあるんだよねぇ」

「ふむ、そろそろまとめてメンテナンスでもしてやらねば、本当に置物になってしまうな。ちょうどいい、周囲の瓦礫も掃けたことだし、今日の内にやってしまうか。倉庫へ行くぞ!」

「わぁい、ブラックホール生成電子レンジとか、一瞬で雨が降った大地も乾燥させるターボドライヤーとか、懐かしいなぁ」

「流石にあの時は死ぬかと思ったな。――ふ、俺もヤンチャだったものだ」

「……んん……」

「? どうした」

「あ……んん……っ……ねぇジョウ、そろそろぉ……」

「もう生え換わったのか、どんどん早くなっていくな。だが駄目だ、改造は一日一改。生まれたてのうさ耳では、いい改造はできないのだ」

「もぉ、けちぃ……」

「今日は昔の改造品を、徹底的に手入れするぞ。ほれ、お前も手伝え」

「はぁい」



 ――その頃、とある島国のとある首都圏にて。


「総理! 原因不明の隕石群が、こちらへ接近しています!」

「なんだと!?」

「着弾まで幾ばくの猶予もありません! 総理、迎撃許可を!」

「もちろんだっ、なんとしてでも撃ち落とせ!」


 バタバタと駆けていく姿を見届けて、思わぬ緊急事態に立ち上がっていた総理と呼ばれた男は、深く――本当に深くうなだれて、腰を下ろした。


「本当に何だというのだ……? 昨日も、原因不明の竜巻をなんとか処理したばかりだというのに」

 

 何故なのか、ほぼ毎日起こる原因不明の大災害。

 調査の結果、とある地域ばかりから発生するとの報告を受け、調査隊を派遣した事もある。

 しかしそこにあったのは、何の変哲もない一軒家。総理自身直接あった事はないが、報告によれば住んでいたのは、仲睦まじい夫婦だったという。

 素行にも特に問題行動があるふうには見えず、美味いお茶をご馳走になってきたとか。

 念の為家の中も捜索したらしいが、不満げな様子一つ見せずに丁寧に一つ一つの部屋を案内してくれたとか。

 夫の方に物作りの趣味があるそうで、少し変わった形状の電子レンジやドライヤー等の家電が置いてあったのは、彼の手作りなのだそうだ。

 結局怪しいものは何もなく、結論として彼らはシロであるとわかった。

 一つ気になるとすれば、その調査隊に参加した者らが事あるごとに『ねこ耳』の素晴らしさを語るようになったことぐらいだろうか。

 災害とねこ耳に、何か関係があるのだろうか?


「ははは、何を馬鹿な。少し疲れが過ぎているかな」


 総理は溜息を吐く。原因解明は難航しそうだ、明日は仮眠の時間を作ろう。

 頭の中で翌日の予定を練りながら、窓の外を見やる。

 ――遠くから、対空砲火の音が聞こえた。 

1、2分で読み切れる超短編シリーズとして書きました。これからもちょくちょく上げてゆきます。

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