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鬼神との遭遇5

園長先生の許可をもらって僕は匡さんのお父さんと一緒にお家に行った。初めて会ったとき匡さんのお父さんは僕が小さいのに驚いていた。匡さんの話を聞いてもっと大きい子だと思っていたらしい。

匡君の家は大きいけど随分古くて、庭は雑草だらけになっていた。

お父さんは僕を家に案内しながら、話しかけてきた。

「古い家で驚いただろう。昔はこのあたりでも有数のお屋敷だったそうだけど、商売がうまくいかなくなってね。私は唯のサラリーマンだから税金を払うだけでも精一杯だよ。」

お父さん。それは幼稚園児にする話では有りません。

3人でお茶の間でお菓子を食べながらタケミナカタノ神様のことなどいろいろと話をした。その後、僕は奥の座敷に案内された。

長い廊下から入り大きな座敷の奥にある6畳ほどの部屋は板の間で壁1面に大きな神棚があった。ここがまさに宗像家の中心らしい。

「ここで、匡をタケミナカタノ神様に会わせてもらえるかい。」

「はい。」

匡さんには神棚を背に座ってもらった。スッと匡さんの後ろにタケミナカタノ神様が現れた。今はタケミナカタノ神様も座っている。厳しい顔をしているけど、怒ってはいないように見える。

お父さんは僕の斜め後ろに座った。

「匡さん、タケミナカタノ神様はもうここに来ています。」

匡さんの肩がびくっとした。

「僕が匡さんに触ったら、見えるようになりますよ。」

僕は匡さんの両肩を掴んだ。

途端タケミナカタノ神様の顔がぐんと迫ってきた。

”我が子孫よ。”

「「わっ。」」

しゃ・・しゃべった。

“わしが鬼神と化す前に話せたこと、この童に感謝するがいい。お前の弱さのせいでわしは悪い気を取り込み続けている。ほどなくわしは鬼神と化し周囲に害悪を振りまくようになるであろう。”

「なぜです!」

“わしは武神じゃ。お前の心根の弱さとは相いれん。”

「僕は喧嘩なんか出来ないし、しても負けます。・・・何で僕なんかに宿ったのですか?誰かもっとふさわしい人に宿ればいいではないですか。」

“喧嘩など些細な事じゃ。その最初から負けを認める気持ちの弱さが、わしを鬼神にする事が分からんか。逃げれはせぬぞ。今や宗像の直系はお前ひとり。お前が子供に引き継ぐまでわしは離れることもできぬ。”

「僕が死ねば・・・死ねば終わりでしょう。」

“馬鹿者が。祀られぬ鬼神がどうなるのかも知らぬのか。どのような災いがこの国にもたらされるか。”

「タケミナカタノ神様、どうすれば鬼神にならずに済むのでしょうか?」

思わず口を出してしまった。今触っているせいで匡さんの気持ちが分かる。どうにもならないと諦めようとしてしまっている。この数年どうにもならないことで苦しみ続けてきたんだ。そして今それがお前の所為だと責められている。終わるのなら終わってしまえ、そのように匡さんが考えても仕方ないけど。

なんとかしなくちゃならない。

鬼神がどのような災いをもたらすかは知らない。しかしそうなったら匡さんは確実にお終いだ。

“童よ。お主には感謝するが、これはわしと匡との問題じゃ。口をはさむものではない。”

「関係なくはないですよ。あなたは今災いをもたらすと言った。それは僕や僕の知っている人たちも被害を受けるということでしょう?」

“子供にどうこう出来る話ではないわ。黙っておれ。”

「そんなことはやってみなくては分からないじゃないですか!」

“ほう。お主は匡などよりよほど気概があるな。”

“匡、お前に選ばせてやる。周りに害悪を垂れ流しながら呪われた者としての生を望むか。我が認めるほどに強くなって見せるか。”

「匡さん!」

匡さんは俯いたままだ。俯いたまま震えている。・・・だめなのか・・・

「・・・僕だって・・・こんなのは嫌なんだ。・・・どうすれば良いのか分からなくて・・僕だって・・僕だって強く成りたい!」

“宜しい。童よ、お前が鍛えよ。時間はないぞ。”

「「えっ!?」」


なぜか僕に、5歳も年上の弟子が出来ました。

「まさか俺の子分に年上の弟子ができるなんてなぁ。」

「一郎君すごいね~。」「すごいのー。」


国津神様が仲間になりました^^;

次は定番の修行です。



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