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鬼神との遭遇2

このあまりに理不尽な状況にタケミナカタノ神は怒っていた。

碌に形をとることもできない子鬼共がこの神たる私を取り囲んでいるのだ。しかもこいつらは私を恐れる様子がまるでない。私の依代がこいつらの宿主を恐れているからだ。

無知なる子鬼共は、宿主の自信のままに私を嘲っている。

先代の依代のころから、このような事は偶さかにあった。市井にいれば無知な者共はいる。しかし、この依代は酷過ぎる。無知な者には威厳をもって正さねばならぬものを、怯えるなどとはどういうことだ。

タケミナカタノ神の怒りは依代たる匡にも向いていた。

こいつら吹き飛ばしてくれる。

タケミナカタノ神は怒りを込めて手を振り上げた。

その時、子鬼の宿主の一人が倒れた。

いつの間に近付いたのか、神たる我も気付かぬうちに、小さな子供が宿主共の足元に来ていて、二人目の足を払っている。体重の無さを補うためか、片手を付いての見事な回転足払いだ。二人目が転んだところで、三人目が反撃に出た。上から容赦なく殴ってきた。幼子とも言っていい相手に容赦なく拳をふるうとは、鬼畜の所業だ。このような者だから子鬼が憑く。

小さい子の対応は素晴らしかった。背をかがめて拳の下を潜り抜けると同時に、宿主の軸足を蹴る。宿主は思いっきり地面を殴りつけてしまった。

最初に倒れた宿主が小さな子を捕まえに来た。小さな子は逆にその手首をつかむと、全体重をかけて地面に押し込んだ。その宿主は見事に一回転して大の字に倒れた。

「なっ、なんだこいつはぁ。」

「ば、化け物か。」

時間にして1分もたっていない。宿主共は這う這うの体で逃げて行った。子鬼共もその背で恥ずかしそうに縮こまっている。

呆気にとられてしまったが、何とも胸の梳く物を見たな。

小さい子は、振り返ると私を見て、片膝を付き丁寧な礼をした。その後ですっと立ち上がると、匡に声をかけた。

「匡さんですか?」

見ていて気持ちの良くなるような所作である。


タケミナカタノ神様は大国主命の息子さんで、天神への国譲りに反対された方です。

大物を出してしまいました。諏訪大社の関係者の方がいましたらすみません。


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